警察庁は26日、SNSなどを使って犯罪の実行役を集め、離合集散を繰り返す「匿名・流動型犯罪グループ(匿流)」の摘発状況を初めてまとめ、公表した。資金獲得に関する犯罪で2024年4~6月に全国で1531人を摘発。このうち実行役を募る「闇バイト」に応募したのは604人で4割にあたった。

 警察庁は都道府県警に対して、悪質な犯罪を組織的、継続的に行う恐れのあるグループについて、摘発の状況を報告するよう指示。各警察の判断で匿流に区分した数を集約した。

 1531人を罪種別に見ると、口座を転売するなどの犯罪収益移転防止法違反が518人で最多。詐欺452人、窃盗163人、薬物事犯138人、強盗54人と続いた。このほか組織的犯罪処罰法違反38人や賭博35人、恐喝26人などがあった。

 警察庁は26日、匿流を特集した24年版の警察白書を公表。「市民社会に対する重大な脅威となっており、社会全体で取り組むべき課題だ」と指摘した。

 特集では匿流の特徴として「収益を吸い上げる中核部分が匿名化されている」ことなどを挙げた。組織の把握やメンバーの特定が容易でなく、従来の捜査手法では資金の流れなどを解明することは困難だと指摘。特殊詐欺やSNS型投資詐欺、違法なスカウト行為や薬物の密売といった資金の獲得活動の実態を紹介している。

 匿流をめぐっては、22~23年に起きた一連の広域強盗事件で、警視庁などが「ルフィ」などと名乗るグループの幹部らを逮捕。24年4月には、全国の警察で部門間の縦割りをなくした専従体制を整備した。

 白書では、グループが犯罪の手口や連絡手段を変えながら取り締まりを逃れようとしていると指摘。「総力を挙げてグループに対する実態解明や取り締まりを強力に推進していく」とした。

 白書はトピックスの一つに、今年1月に発生した能登半島地震での活動を取り上げた。全国から広域緊急援助隊など延べ約11万4千人が派遣され、被災者114人が救助された。防犯のため、避難所などには防犯カメラを1006台設置。警察庁のSNSで救助やパトロールの様子を紹介するなどした。

 白書は26日から、警察庁のウェブサイトでPDF版を無料でダウンロードできる。(板倉大地)

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