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 AIエンジニアの安野貴博氏(33)は、政治の世界でほぼ無名だったにもかかわらず、東京都知事選で主要候補者といわれた4人に次ぐ5位となった。15万票獲得の背景には、AIなどのデジタルを駆使した、今までにない選挙活動があった。

■支持を広げた最大の理由とは?

安野氏
「テクノロジーで、誰も取り残されない東京を作ること。デジタル民主主義で、あしたの希望の持てる東京を作っていきたいと思っています」

 AIエンジニアで起業家、作家という顔を持つ安野氏。選挙戦スタート時には、ほとんど無名だった彼が、最終的には15万4638票を獲得し、5位となった。

安野氏
「(Q.選挙になんで出ようと思ったんですか?)一番最初のきっかけは4月の中旬ごろ、散歩をしていたんですよね(妻と)2人で。僕が選挙の仕組みとか政治の仕組みについて、ああだこうだ言っていたら、(妻が)そこまで言うなら“自分で出ろ”と」 妻・里奈さん
「選挙期間を一緒に戦って、むしろ2人で戦ったというよりもチームで戦ったことで、初めて夫にリーダーシップを感じた」
「(Q.初めて?)初めてですね」

 妻・里奈さんの一言から始まった都知事選の出馬。無名候補から支持を広げた最大の理由とは?

安野氏
「他の候補者と比較して、唯一違うことをしていたのは“双方向の選挙”にしていこうということを言っていた。マニフェストをどんどんアップデートしていこうというのをやっていて。その姿勢が評価されたのかなと」

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■最新のAI技術を使い…質問に答えられるように

■最新のAI技術を使い…質問に答えられるように

 安野氏が目指した“双方向の選挙”。その象徴が“AIあんの”だ。 AIあんの
「AIあんのです。皆様からの政策に関するご質問にお答えします」 安野氏
「(Q.“AIあんの”は、いつやろうと思った?)妻に選挙出たらと言われて、夜眠ろうとした瞬間に“AIあんの”の図がフワッと思い浮かんで」

 AIあんのは、安野氏の政策である「新産業で所得倍増」「世界一の子育て・教育環境」「行政をもっと簡単・透明」などを学習し、選挙期間中、24時間いつでも有権者からの質問に答えてくれるシステム。

 実際に、「教育費の支援について所得制限は設けるか」と質問してみた。 AIあんの
「教育費については、塾代や受験料の支援制度を整備する予定です。元々は所得制限を設ける予定でしたが、マニフェスト公開後にみなさんとの議論を通じアップデートし、所得制限を撤廃しました」

 AIあんのには、およそ8600件もの質問が寄せられ、実際に有権者の意見を反映し、当初のマニフェストを変更していったという。

 AIを使った選挙といえば…。

AIゆりこ
「AIゆりこがお届けします。私、小池百合子、知事就任後の東京都では、子育て教育施策の所得制限撤廃が進んでいます」

 AIゆりこは一方的に話すだけだが、安野氏は人の言葉を理解できるようになった最新のAI技術を使い、質問に答えられるようにしたのだ。

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■妻・里奈さんのプロ顔負け演説は…選挙前日に急きょ決定

■妻・里奈さんのプロ顔負け演説は…選挙前日に急きょ決定

 大きな注目を集めたもう一つの要因が、妻・里奈さんのプロ顔負けの演説だ。

妻・里奈さん
「私、安野貴博の妻でございます。今、東京に危機が訪れています。国の政局が東京都に持ち込まれようとしています。しかし、安野貴博は違います。政局より政策を、そして、その先の未来を。未来の東京をみなさんと一緒に作りたい。その思いで、その一心で立ち上がりました」

 しっかりと聴衆を見つめ、身振り手振りを交えながら訴えかける姿が話題に。

安野氏
「(演説は)自分一人がじゃべるんじゃなくて、前説をするということを、2日前くらいに聞いたんですよね。2日後にしゃべってくれそうな人は誰というのを考えたら、まず真っ先に(候補に)上がるのが妻で。『頼むわ』と、2日前に突然お願いした」 妻・里奈さん
「いや、前日だったと思います」

 選挙前日に急きょ決まった演説。里奈さんは、出版社で小説の編集を手掛ける編集者で、これまで演説の経験もなかったという。

妻・里奈さん
「素人のカラオケが素人くさく、まあまあうまかったから、結構拡散していただけたと思っている」 安野氏
「びっくりしましたね。むちゃくちゃハードルを上げてきたと思って、ドキドキしました。この後に(自分が演説を)やるのか」

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■新たな手法で…すべての掲示板にポスター貼り話題に

■新たな手法で…すべての掲示板にポスター貼り話題に

安野氏
「今、ポスターを貼っています」  東京都内およそ1万4000カ所ある選挙ポスターの掲示板。この掲示板すべてにポスターを掲示できたのは、小池都知事など組織力の大きな候補者のみ。そんな中、安野氏は新たな手法で、すべての掲示板にポスターを掲示し話題となった。 安野氏
「業者も1000万円くらい払うと貼ってくれるサービスがあるんですけど、我々そんなお金もないので」

 お金も組織力もない中、安野陣営がとった方法が…。

妻・里奈さん
「まずはGoogleマップに、それ(掲示板の場所)をプロット(描き入れ)して、みなさんに(ポスターを)貼っていただこうと」

 ポスターの掲示板がある場所をマップ化。ポスターが貼られていない場所は青いピンで表示し、貼り終わると黄色に更新されるという仕組み。

妻・里奈さん
「最初は手動でGoogleマップを、色を変えてピンを変えていたんですね。ただ、それだととてもとても間に合わなくて。これは、もう自動化していこうって。自動化しているうちに、ある意味ゲーム感覚で(ボランティアの方が)やっていただけるものになるなって。マップを公開して、リアルタイムで進捗(しんちょく)が見られるように、技術チームがアップデートしてくれた」  選挙期間中、マップをアップグレードしていき、あと何カ所貼れていない場所があるなど、リアルタイムで見える化も実施。このシステムを4日ほどで完成させた。

 すると、ゲーム感覚が増し、参加するボランティアが増えていったという。

妻・里奈さん
「今、どちらにいますか?」 ボランティア
「今、新島です」 妻・里奈さん
「みなさんが見守っているので、ぜひ最後の一枚を貼っていただければと思います。1万4000カ所、最後の1枚です。3、2、1」

 ポスターの印刷代以外、ほとんどお金はかかっていない。

安野氏
「選挙の中で訴えていたデジタルテクノロジーをうまく使うことで、みなさんからの力を集めて、今までできなかったことができるようになる。まさにその一つの実例として、ポスターの例があった。これは、本当にやりたかったことが、ある意味実現できたということですごくうれしかったです」

(「羽鳥慎一 モーニングショー」2024年7月24日放送分より)

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