北海道八雲町で貝殻を原料として洗剤などを製造、販売する「北栄」が、道路舗装会社の大成ロテック(東京)と共同で、ホタテ貝の粉末をアスファルト合材に活用する技術を開発し、特許を取得した。貝は海洋中の二酸化炭素(CO2)を吸収しており資材製造、運搬時の(温室効果ガス排出量が実質ゼロの)カーボンニュートラルにつながるといい、北栄の小杉直司社長(74)は「環境に優しい合材として普及してほしい」と期待する。(共同通信=中西慧、瀬尾遊)
北海道はホタテの一大産地で、農林水産省によると、2023年は漁獲量約33万トン、養殖の収穫量約8.7万トンといずれも全国最多。道庁によると、2022年度は貝殻約14万トンが廃棄物となり、大部分が農地の土壌改良材などに再利用された。
北栄は水産業者から年間1万トン以上の貝殻を引き受けている。ホタテが海水からCO2を取り込み、炭酸カルシウムを生成して貝殻を作ることに着目した大成ロテックが2021年、共同研究を打診した。同社の担当者は「カーボンニュートラルに向け、道路にCO2を固定できる素材を探していた」と振り返る。
貝殻を2.5ミリ以下の大きさに粉砕し、合材の8%を占める砂と置き換えて製造。昨年12月、八雲町内の道で試験した結果、耐久性や強度が十分あることが確認され、今年4月、2社で特許を取得した。
気象庁によると、海は大気から大量のCO2を吸収している。大成ロテックの試算では、貝殻を使うことで合材1トン当たり約35キロのCO2を固定できるといい、島崎勝技術本部長は「資源循環と脱炭素を両立して環境保全に貢献できれば」と話す。
北栄の小杉社長は「自治体にとって脱炭素は大きな付加価値になる。ホタテ貝の使い道として広く根付いてほしい」と期待を込めた。
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