カツオやエビ、カニ、ラッコにイルカ、クジラ――。海や水族館で見かける生き物が図柄になったネクタイ約150本が、「エビとカニの水族館」元館長の森拓也さん(71)=三重県四日市市=の自慢のコレクションだ。世界の水族館をめぐって40年以上、収集を続けてきた原動力は、「海の生き物愛」という。
サンゴ礁を泳ぐ色とりどりの熱帯魚、水面から顔を出したラッコ、一列に並んだゴシキエビ、浜辺でくつろぐオットセイ、群れになって歩くペンギン……。森さんのネクタイコレクションは、どれも海の生き物が生き生きと描かれている。
収集を始めたのは、森さんが鳥羽水族館(鳥羽市)の学芸員になった1976年ごろから。海洋生物の調査・研究で、米国やオーストラリア、パラオ、フィリピン、ニューカレドニアなど世界各地の水族館を訪れるたびに、ミュージアムショップやネクタイショップをめぐり、気に入ったものを買い集めてきた。
「オーストラリアで見つけたダイオウグソクムシのネクタイは、ほかにはないのではないかな」という。
もっとも、コレクションするのが趣味、というわけではない。「ネクタイは締めなければ意味が無い。講演を頼まれたときに、海の生き物のネクタイを締めていくと、それだけでみんなが興味を持ってくれるから」と話す。
四日市市生まれの森さんは、東海大学海洋学部水産学科を卒業後、鳥羽水族館に入社。ジュゴンの飼育のパイオニアで、パラオなど海外各地で調査・研究に携わってきた海洋学者だ。和歌山県すさみ町立「エビとカニの水族館」の元館長で、朝日新聞大阪本社版に夕刊コラム「びっくり魚~てん!!」を連載した。現在は四日市市立博物館の学芸員を務める。
「海の生き物のネクタイは、大好きな海との接点であり、集めていて実に楽しい。海外に行く機会が減り、ペースは鈍っているが、これからもコレクションを続けていきたい」と意欲満々だ。(鈴木裕)
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