20日深夜、伊豆諸島の鳥島の沖合で海上自衛隊のSH60K哨戒ヘリコプター2機が潜水艦を探知する訓練中に墜落した事故では、乗っていた隊員8人のうち1人が死亡し、7人が行方不明となっています。

海上自衛隊によりますと、このヘリコプターには、目標の情報などをリアルタイムで共有するため、複数の機体を電波でつないで互いの位置情報などを共有する、「僚機間リンク」と呼ばれるシステムが搭載されていますが、2機どうしはこのシステムで結ばれていなかったことが、防衛省関係者への取材で分かりました。

防衛省関係者によりますと、このヘリコプターが複数で飛行する際には、基本的に「僚機間リンク」で互いに結び、接近した際には警報音が鳴って衝突を回避するということです。

一方、目視やレーダーの情報でもほかの機体の位置を確認するということです。

海上自衛隊は、2機が空中で衝突して墜落した可能性が高いとみて、「僚機間リンク」で結ばれていなかったいきさつなどを調べるとともに、行方不明となっている7人の捜索を続けています。

海自 2021年の訓練中事故受け 再発防止の取り組み強化

海上自衛隊は、2021年に夜間の訓練を行っていたヘリコプター2機が接触する事故が起きたことを受けて、再発防止の取り組みを強化していました。

事故を受けて海上自衛隊は、目視による見張りを厳格に行うとしたうえで、夜間などは目視による見張りには限界もあるとして、状況に応じてレーダーなどの機器も使って周囲の機体の位置や動きを把握するよう指導しているとしています。

また、SH60Kなどの哨戒ヘリコプターには、目標の情報などをリアルタイムで共有するため、ヘリコプターどうしを電波でつないで互いの位置情報を知らせ、機体が接近した際には警報音が鳴る、「僚機間リンク」と呼ばれるシステムが搭載されているということです。

このほか、同じ空域に複数のヘリコプターを派遣する場合は、管制担当者がそれぞれの機体に対して高度をずらすよう指示を出しているということです。

海自 “フライトレコーダー解析 機体の異常確認されず”

海上自衛隊によりますと、SH60K哨戒ヘリコプターでは機体の左後方の外側にフライトレコーダーがついていて、水圧がかかると自動で機体から分離して水中に浮くようになっています。

直径43センチ、高さ19センチの筒状で、機体から分離すると、位置情報を電波で発信するほか、白色に発光するようになっていて、今回はこれらが正常に作動したことから、発見が早かったということです。

フライトレコーダーには、エンジンの出力や飛行高度、機内の音声の記録などが入っていて、今回の事故では、音声も含めて飛行に関する詳細な記録が残されていたということです。

海上自衛隊によりますと、今回、フライトレコーダーの解析から、機体の異常は確認されなかったということで、今後、詳細な解析を行って事故原因の究明を進めることにしています。

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