7月23日は「文月(ふみづき)のふみの日」。手紙、書いていますか? 今、はがきや手紙の書き方、出し方がわからない子どもが増えているという。

 日本郵便(本社・東京都)では2010年から、全国の小中高校などを対象に「手紙の書き方体験授業」の支援を行っている。手紙を書く体験を通じ、手紙の良さを知ってもらう狙い。

 「みんな、はがきは見たことある?」。17日、大阪府富田林市にある市立大伴小学校。1年1組の教室では、暑中見舞いやクリスマスカードといったはがきの数々が電子黒板に映し出された。

 担任の原田朋哉教諭(48)から郵便番号の仕組みなどの説明を受けた子どもたちは、実際に宛名をなぞったり、伝えたい人を思い浮かべてメッセージを書いたりした。

 授業の最後には、本物のはがきに宛名を書く体験も。ひらがなを習ったばかりの子どもたちは、はみ出したり、曲がってしまったり。「難しい」「わからへん」と宛名を書くのにも一苦労だ。

 宛名を書いたはがきは「暑中見舞い」を出すという夏休みの宿題だ。「はがきが届くのを楽しみにしてるよ。先生もお返事を出すね」と原田教諭が言うと、子どもたちはうれしそうだ。

 宛名を書き、文字や絵で夏休みの思い出を記し、ポストにいれる。そして返事がくる。手紙やはがきのやりとりを通じ、「返事が来るうれしさや、自分の言葉や絵でじっくり思いを伝える楽しさを知って欲しい」と原田教諭は話す。授業を受けた宇根愛華さんは「本物のはがきに書くときとっても緊張した」。田部愛遥(あすみ)さんは、宛名を書くのが面白かったという。「はがきや手紙を出してみたいと思った」

 日本郵便の「手紙の書き方体験授業」では教材支援としてテキストと郵便の仕組みなどがわかる動画コンテンツ、はがきなどを提供してもらえる。教師用の指導書もある。

 SNSが発達し、短文やショートメッセージになれている子どもたち。同校の釜坂佳成校長(59)は「手紙を書く静かな雰囲気は貴重な経験。物事に向き合い、言葉を選ぶ。心を落ち着かせ、自分と向き合う時間にもなる」と話す。

 23年度は全国の約1万3千の小学校が体験授業に参加した。日本郵便が参加校を対象に行っている「手紙の認識度調査」によると、自分の住所を正しく言える小学6年生は11年度の約87%から23年度は約57%に減少。郵便番号を正確に言える小学6年生も11年度は約78%に対し、23年度は約32%に減少した。年賀はがきを1通も出さない児童も増加しており、男子は23年度約38%、女子は約27%だった。

 日本郵便切手・葉書室の光山實さん(54)は「手紙の宛名になる住所や郵便番号が言えない子どもが増えている。手紙の体験を通じて、面白さや魅力を知ってもらいたい」と話している。(大蔦幸)

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