東海道新幹線の保守用車両同士の衝突・脱線事故による運転見合わせで、JR名古屋駅などは足止めされた利用客で一時ごった返した。脱線事故が起きた愛知県蒲郡市内の現場では復旧作業が続いたが、22日中の運転再開には至らなかった。
午前9時過ぎ。名古屋駅構内は大きなスーツケースを引く人たちが大勢立ち往生していた。ハンカチで汗を拭きながら足早に移動する人や、ワイシャツ姿で電話をする男性などの姿が目立った。
新富士駅へ行く予定だったメーカー勤務の男性(32)は「仕事の研修があり、その後は千葉にも行かなければならず、困っています」。母と一緒に東京ディズニーリゾートに行く予定という女性(58)は「今年退職し、がんばったご褒美として楽しみにしていたのに。現地でホテルを予約しているので、今日中に着かないといけない」と肩を落とした。
保守用車両が脱線した愛知県蒲郡市神ノ郷町の現場では、事故から約11時間が経過した午後2時半ごろになっても、100人以上の作業員が復旧作業にあたっていた。事故車両から破損した車輪を軸ごと取り外し、搬送用の台車に載せる作業などをしていた。
名古屋駅では夕方も運転再開を待つ人が絶えなかった。最新の状況を確認しようと電光掲示板をのぞき込む人もいた。
名古屋市の女性(45)は、東京での仕事から高速バスで7時間かけて帰ってきた。「駅の人混みとバス酔いで気持ち悪くなっちゃって、ここから家まで電車で帰る気力がない」と苦笑いした。
折りかえし運転の豊橋駅も大混雑
豊橋駅では、新幹線が折りかえし運転をしている静岡県の浜松駅まで在来線で向かおうとする乗客でごった返した。
駅の東西を結ぶ通路は埋め尽くされ、蒸し暑さで床に座り込む幼い子どもも。駅員は「浜松方面の電車、2時間程度お待ちいただいております」とアナウンスしていた。
品川駅に向かうという三重県四日市市の会社員奥中英夫さん(56)は「1時間半ほど並んでいるがまだ改札が見えない。混雑するだろうと思っていたが、想像以上だった」と話した。(松本敏博、米田怜央)
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