バングラデシュで、日本人の男女2人による音楽ユニット「BAJNA BEAT(バズナ・ビート)」が人気を集めている。レパートリーの大半を公用語であるベンガル語で歌うほか、現地では珍しい本格的なピアノ演奏も取り入れ、一気にブレークした。2016年11月の結成以降、バングラデシュと日本で行ったコンサートは100回以上。音楽で両国の懸け橋となっている。(共同通信=佐藤大介)
2024年4月、東京・池袋で開催された日本最大級のバングラデシュイベント。野外ステージにバズナ・ビートの渡辺麻恵さん(43)と水谷俊亮さん(39)が立ち、バングラデシュで広く知られた曲を歌うと、詰めかけた数千人のバングラデシュ人から大歓声が上がった。
路上生活の子どもたちを支援する非政府組織(NGO)「エクマットラ」のメンバーとして2012年から首都ダッカで暮らす渡辺さんは、日本では俳優として舞台などで活動していた経験を持つ。
ダッカでアニメ制作会社を営む水谷さんが幼少からピアノを学んでいたことを知り、渡辺さんが「この地で暮らす思いを音楽で伝えたい」とバンドの結成を持ちかけた。バズナ・ビートはベンガル語で「音楽を奏でる人」を意味する。
当初は日本の歌をベンガル語で解説し、日本語で歌っていたが、聴衆の反応はいまいち。そこで、自分たちが感じたバングラデシュの魅力をベンガル語の歌詞にしたオリジナル曲を作ると好評で、現地のテレビ番組にも出演するようになった。
2021年の東京五輪では、音楽制作会社「ティーズミュージック」(東京)の協力を得て、バングラデシュ選手団の応援歌を手がけ、日本のポップスを取り入れた曲調で人気を博した。
経済成長が続くバングラデシュでは、都市鉄道や港湾など大規模なインフラ整備が進むが、貧富の格差も拡大している。「発展途上の中でも、人々が明るさと力強さにあふれているのがこの国の魅力。それを誇りに感じてほしい」。そうした思いを胸に、2人は人々へ歌を届けている。
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