夏休みを控え、富士山に登る人が増えています。山梨県側では、弾丸登山対策で午後4時までに登り始めることがルール化されましたが、ゲートが閉鎖する前の駆け込み登山が新たな問題になっています。
■山梨県知事が危機感「方策は考える必要」
18日、3776メートルの山頂から見たご来光です。 ノルウェーからの登山客「本当に最高だった!」
「今までで一番の朝日だった!」
梅雨明けしたとみられる富士山。山梨県側で唯一の登山道「吉田ルート」5合目付近に設置されたゲートでは、県のスタッフが対応に追われていました。
弾丸登山を規制するため、今年から新たなルールを導入した山梨県。一日の登山者数に4000人の上限を設け、通行は午前3時から午後4時までに制限しました。しかし、新たな問題がありました。
ゲート付近に設置した定点カメラの映像を見ると、午後1時すぎにはまばらだった登山者が、午後3時を過ぎるころから次第に増えていました。相次ぐ駆け込み登山に、山梨県の長崎幸太郎知事はこう話します。
長崎知事「(午後4時の閉鎖時間が)本当に弾丸登山を防止するうえで適切なのか、他に何か工夫がないのかは議論しないといけないと思っている。準備不足の方の通行をお断りするような条例が必要かもしれませんが、方策としては考える必要がある」 実際、今年の富士山では、半袖・ジーパン姿の外国人男性が走って登っていく光景も見られました。
天気の急変も多く、今年は遭難が相次ぎ、すでに5人が亡くなっています。
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■3100m登山道を塞ぐ…雑魚寝50人も■3100m登山道を塞ぐ…雑魚寝50人も
午後4時閉鎖の新ルールを設けてからは、弾丸登山をする人は限りなく0に近くなったといいます。
しかし、標高3100メートルの8合目にある山小屋「太子館」の前では、寝袋やアルミシートで寒さをしのぎ、夜を明かす団体がいました。中には、ブルーシートを頭からかぶる人もいます。この日は、およそ50人が登山道を塞いでいました。
地元・旅館組合の事務局長はこう話します。
富士山 吉田口旅館組合 井上義景事務局長「まともな雨具も持っていないし、防寒具もまともに持っていないような。梅雨明け10日ぐらいが一番リスクが少ないですが、雨具や防寒具は富士山では持ってこないと、本当に命に関わる事態になりますから。きちんと装備をしてきていただきたい」
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■頂上に行くなら必須 山小屋の予約は…■頂上に行くなら必須 山小屋の予約は…
18日も番組が取材をしていると、ゲートが閉まる30分前、スイスから来た男性が駆け込んできました。花柄のシャツに足元はスニーカーです。
スイス人「(Q.ジーパンで登る?)着替え持っていますよ、準備万全です!」
背負っていたバッグを見せてもらうと、パーカや厚手のズボンがありました。登山が趣味ですが、3000メートル以上の山に挑戦するのは初めてだといいます。さらに…。
山梨県職員「頂上に行きますか?」 スイスからの登山客
「はい、頂上に行こうと思ってます」 山梨県職員
「山小屋は予約したの?」 スイスからの登山客
「いいえ」 山梨県職員
「しないといけませんよ」 スイスからの登山客
「分かりました。予約します」
ご来光を見るために山梨側から山頂を目指すには山小屋の予約は必須です。ところが、男性は予約していませんでした。
運よく山小屋が開いていたため、予約しようとしますが、ここで問題が発生。ウェブサイトの予約画面にはカタカナで名前を書く欄がありますが、男性のスマートフォンではカタカナを入力することができません。取材していた佐藤ちひろアナウンサーの手を借りて、1時間ほどで予約が完了。入山していきました。
男性の他にも同じような登山客が2人いました。
山梨県職員「この時間から行っても夜、絶対寒い思いをして気温も変わりやすいし、低体温症になる」
「4℃のところで、5時間や6時間待てますか?風が吹いたら体感気温0℃くらいになる。危ない」
「だから、山小屋を予約してほしい」
2人は7合目の山小屋に泊まることを希望しましたが、満室。5合目の山小屋の予約をして、入山していきました。
山梨県の担当者はこう話します。
山梨県 富士山保全・観光エコシステム推進グループ
岩間勝宏さん
「駆け込みはルールを破っているわけではないが、(ゲート閉鎖の)趣旨を理解していただいて、粘り強く説明していくことが必要だと考えている。マナーを守っていただいて、安全で楽しい登山をしていただきたい」
(「グッド!モーニング」2024年7月19日放送分より)
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