36人が死亡した京都アニメーション放火殺人事件で、今年1月の一審・京都地裁の裁判員裁判で死刑判決を受けた青葉真司被告(46)は、大阪高裁に控訴し、現在は大阪拘置所(大阪市都島区)に勾留されている。

 一審の被告人質問で青葉被告は、京アニに小説のアイデアを盗用されたと思い、「どうしても許せなかった」と事件の経緯を説明した。小学生のころに父から暴力を受け、父が仕事を辞めて「食べていくのに困った」という過去にも言及。定時制高校は皆勤で「一番いい時代だった」と振り返ったが、成人後にアルバイトや派遣社員として職を転々とした自身は「弱者」「底辺」と表現した。

 死刑判決が出た翌日に記者が拘置所で面会した際、アクリル板越しの青葉被告は「自分がやったことの責任はある。重く受け止めたい」と語った。犠牲者や遺族に対しては「それぞれの人生があることを重く受け止めないといけない」と述べた。自身の境遇は「今となっては、言い訳に過ぎない」とし、「事件を後の教訓にしてほしい」「発信したいから控訴する」と説明した。

 事件で自身も全身にやけどを負い、自力歩行ができないという青葉被告。拘置所の室内では、読書などをして過ごしていると話していた。

 6月下旬、記者は再び面会を申し込んだ。事件から5年を迎えるいま、何を考えて過ごしているのかを聞きたかった。

 待合室で20分ほど待つと、係官を通じて「辞退させてください」との回答があった。(戸田和敬)

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