大阪府内の朝鮮学校に子どもを通わせる保護者らが16日、府庁を訪れ、補助金支給の再開などを求めた。保護者らは昨年4月施行のこども基本法を踏まえ、「全ての子どもたちが差別なく、権利が尊重される施策を」と訴えた。

 府は1991年度から「私立外国人学校振興補助金」を交付していたが、2010年に橋下徹知事(当時)が交付の条件として「朝鮮総連と一線を画す」「北朝鮮指導者の肖像画撤去」などを要求。府内で朝鮮学校を運営する学校法人「大阪朝鮮学園」側は応じたが、府は12年、生徒の訪朝を問題視して交付をやめた。学園側は裁判も起こしたが、補助金支給は「裁量の範囲内」として復活要求を退ける司法判断が確定している。

 要請したのは、保護者らでつくる「オモニ会」の5人と支援者。こども基本法は「全ての子どもが幸せに成長できる社会の実現」をうたうが、朝鮮学校の子どもは「不利益を被っている」と主張。法の理念を施策で具体化するよう求めた。

 3人の子どもを通わせる梁有那(リャンユナ)さん(39)は「自分のルーツと生き方を学ぶのが朝鮮学校。どんな子どもでも、学ぶ権利を保障するのが行政の義務ではないか」と話した。

 府庁前では、補助金が停止になった翌月から毎週火曜日に市民らが集まり、抗議の声を上げている。この日も576回目の訴えがあった。(大滝哲彰)

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