滝井元之さんが能登半島地震の被災者に届けている手書きの新聞「紡ぐ」=12日、石川県穴水町

 石川県穴水町の元教諭滝井元之さん(79)が編集した手書きの新聞「紡ぐ」を能登半島地震の被災者に届け、支援情報や話題を提供している。印刷会社が被災し、2009年から続く発行を昨年12月を最後に中止。それでも「明るい話題を提供したい」と自身で印刷して再開にこぎつけた。「みんなと前に進んでいきたい」。復興への願いが背中を押す。

 「能登半島地震特別号」。再開号となった72号はA4判の両面フルカラーで200部刷った。支援が必要な被災者のためにボランティアセンターの連絡先などを載せ、裏面には正月飾りが残ったまま崩れた住宅などの写真を並べた。

 今月8日には同町由比ケ丘の仮設住宅の一角にある談話室に、うち30部を配った。読者からは「周囲の被災状況しか見えていなかったので、町全体のことがわかった」、「高齢者も多く、紙での情報は助かる」と好評を得た。

 穴水町で震度6強を観測した07年の地震の2年後、災害公営住宅の住民に元気になってもらいたいと思い、前身となる新聞「あした塾だより」の製作を始めていた。

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。