◆毎朝収穫「その日のうちに食べるのが一番」
朝収穫したばかりの枝豆の枝を切る増田さん
自宅近くの2000平方メートルの畑で、ほぼ毎日午前8時半から枝豆を収穫する。午前中に長い枝を切り、400グラムずつ小分けにした約40袋を近くのスーパー「さんよう」に卸す。増田さんは「水分が抜けると味が落ちる。その日のうちに食べるのが一番」と教えてくれた。 小学3年生のときから、学校から帰ると、枝豆の栽培を手伝ってきた。今は定年退職した長男和雄さん(69)と農業ボランティアも作業に加わっている。 増田さんが栽培する枝豆の甘さを際立たせているのは、土に混ぜた肥料にある。正体は「かつお節」だ。◆近所のそば屋の提案で
朝収穫した枝豆を手にする増田さん
30年以上前、近くのそば店の店主から「だしで使ったかつお節を使えないか」と提案があり、乾燥させて肥料に使い始めた。「10年ほど続けていたら、甘くなり始め、20年たったらさらに甘みが増した。昔は近所にも極秘にしていた」。そう語ると、笑顔を見せた。 足立区によると、区内はかつて水田が多く、粘土質の土壌が主流で、枝豆の栽培に適していたという。都内では、練馬区に次ぐ2番目の収穫量で、現在も区の代表的な農産物だ。増田さんは「昔は西保木間でも25軒ほどの枝豆農家があったけど、今では数軒になってしまった」と振り返る。農園近くのスーパー「さんよう」で売られている増田さんの枝豆
約50年前から増久農園と取引するスーパー「さんよう」の新妻洋三社長(77)は、増田さんの枝豆について「何十年もかけて、畑の土作りをしているから、甘くておいしいと地元では評判。すぐに売り切れてしまう」と太鼓判を押す。 今シーズンの出荷は、例年より4日早い6月11日に始まった。「今年は暑かったので、成長も早かった」と増田さん。8月中旬ごろまで出荷を続けるという。(井上真典) 鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。