東京五輪・パラリンピックを巡る談合事件で、独占禁止法違反(不当な取引制限)の罪に問われた博報堂側の判決公判が11日、東京地裁であり、安永健次裁判長は有罪を言い渡した。大会組織委員会の元次長=執行猶予付き有罪判決が確定=らの意向に沿って受注調整することを「暗黙のうちに合意した」と認定した。
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法人としての博報堂を求刑通り2億円、グループ会社の博報堂DYスポーツマーケティング元社長、横溝健一郎被告(57)を懲役1年6月、執行猶予3年(求刑懲役1年6月)とした。いずれも公判では起訴内容を否認していた。企業側への判決が出るのは初めて。
判決は、元次長らが2017年12月以降、テスト大会計画立案など組織委が発注する業務に関し、各企業側と面会を重ね、18年4月には受注を希望する競技などを聞き取った結果をまとめた一覧表を作成していたと指摘した。
博報堂を含む各社側は元次長らとの面会を通して「各社が元次長の意向に沿った入札行動をとることを相当程度の確実性をもって相互に予測していた」と指摘。遅くとも一覧表が作成された同年4月には暗黙のうちに受注調整を行うことで合意していたと認定した。
こうした合意に基づく入札行為は、各社の事業活動を拘束しており、「競争を実質的に制限するものである」として独占禁止法に違反すると結論付けた。
一般競争入札だったテスト大会の計画立案だけでなく、本大会の運営業務など随意契約分の業務も談合対象と認定。各社の受注金額は計約437億円に達し、博報堂も少なくとも20億円を得ていたとして「大規模な入札談合事案と言える。公正かつ自由な競争を阻害した程度も大きい」とした。
横溝元社長については「社員として博報堂の利益を図るためとはいえ、安易な選択と言わざるをえず、非難は免れない」と指弾した。
公判では博報堂と横溝元社長は事実関係を認める一方、他の企業が元次長と面会していたと認識しておらず、受注調整が行われる認識はなかったと起訴内容を否定していた。
判決によると、横溝元社長は組織委元次長らと共謀し、18年2〜7月に組織委が発注したテスト大会の計画立案業務などに関し、受注調整して競争を制限した。
事件では広告会社など6社と各社の担当者6人、組織委元次長が起訴された。残る5社の審理は始まっているが、全ての業務に関して不正な受注調整があったと認めた企業はない。
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