山形県で5日、1日1回「笑う」ことを推進する条例案が可決され、波紋が広がっている。ただ、この条例の制定を巡っては、議会で対立が起きている。背景には、何があるのだろうか。
■「笑いで健康条例」について県民は…?
自民党 伊藤香織県議「明るく健康的な県民生活の実現を目指すものであります」 県政クラブ 石黒覚県議
「笑うことが困難な方々の人権を損なうことがあってはならないと、強く考えるところであります」
5日、山形県議会で議論が紛糾するなか、賛成多数で可決された条例が波紋を広げている。
それが「山形県 笑いで健康づくり推進条例」、通称「笑いで健康条例」だ。笑う頻度が高いほど死亡リスクが低いとする山形大学の研究結果をふまえ、家庭や職場などで笑いによる健康づくりを推進するのが目的だ。
今回の条例案を提出した、自民党・渋間佳寿美県議に話を聞いた。 渋間県議「運動にしても、何してもお金がかかったり、労力がかかったりするんですけれど。笑うことについては特段、労力もお金も必要なく、その場ですぐ笑えるということで、健康づくりに非常にいい」 条例には、県民に1日1回笑うこと、事業者には「笑いに満ちた職場環境の整備」に努めることなどが盛り込まれている。条例は努力義務で罰則はない。 一方で、条例に異を唱える議員もいる。 石黒県議
「条例ですからね。最高規範なわけです、県民の。そこに書かれていることを無視し続けるわけにはいかないし。条例というのはどうかなと」
「笑いで健康条例」について、山形県民はこう話す。
70代「初めて、きょう聞きました。笑いで山形県を健康にするのね。いいことだと思いますよ」 20代
「(Q.山形の人は笑わない?)そんなことはないと思いますけど。おとなしい人が多いとは聞きます」 70代
「そういうふうに制定でもしないと、笑う機会って多分ないと思います。ペットなんかいないと、笑う時なんてないもんね」
肯定的な意見もある一方で…。
50代「(Q.この条例で健康になる?)なくても健康になると思いますよ。わざわざ条例にする必要もない気もします」 10代
「義務化された感じ、笑いを。笑うのを(条例で)定めないでほしいなというのはあります」
また、「笑いに満ちた職場環境」という条文に頭を悩ませる人もいる。
40代(販売スタッフ)「何をすれば、笑いに満ちた職場になるんだろう。各職場に1人、笑いの代表を作って、職場を超えて月1回の会合をして、どうしたらいいか業種を超えて話し合ってみるとか」 この条例について、山形県知事は次のように話している。 山形県 吉村美栄子知事
「やや戸惑ったようなところもございますけれど。(県民に)笑って過ごしていただけるような、県政に全力を挙げるのが私の役割だなと思っている。まぁあの……そういうことですね、はい」
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■渋間県議「山形県民は自己肯定感低い傾向」■渋間県議「山形県民は自己肯定感低い傾向」
背景には、山形県民ならではの特徴もあったと主張している。
条例案を提出するきっかけとなった山形大学の研究では、40歳以上の男女およそ2万人を対象に調査が行われた。その結果「1週間に1回以上笑う」と答えた人と「1カ月に笑うことが1回未満」と答えた人を比べたところ、後者のほうが死亡リスクがおよそ2倍高いことが分かったという。
また、今回の条例案を提出した自民党の渋間県議は、「山形県民は自己肯定感が低い傾向があるので、笑う習慣を作るきっかけにしたかった」と話す。日本総合研究所が行った客観的な指標に基づく調査で、山形県は幸福度ランキング7位。一方、ブランド総合研究所による調査で、「あなたは幸せですか?」という質問への回答をもとに行ったランキングでは42位となっている。
今後の取り組みについて、渋間県議は「大手お笑い事務所に協力を打診したところ、前向きな回答をもらっている」とし、お笑いイベントなどを企画していきたいとしている。しかし、条例に反対する県政クラブの石黒県議は「何を行うにも予算が必要。どのように捻出するのかなど、きちんとした議論が重要」と話している。
(「大下容子ワイド!スクランブル」2024年7月11日放送分より)
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