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 10日、富士山の静岡県側のルートが山開きとなりました。これから登山をしようという人が非常に多く集まっています。この後天気が急変し、意識不明になった登山者も出るなど、事故も起きました。

■天気急変「下り出したら強風。最悪」

静岡県の職員
「ただいまより富士山、富士宮口登山道の冬季閉鎖を解除します」  10日午前9時、富士山の静岡県側ルートが山開きを迎え、多くの登山客が3776メートルの頂を目指し、一斉に入山していきます。 登山客
「初めて登るので緊張していますね」
「4年ぶり。ワクワクしています」

 山開き直後の午前中は天候が良かったものの、天気が急変。午前10時半に、山頂から富士宮ルート側を撮影した映像です。

 次々に登山客が頂上へと近付いてきます。視界は開けているものの、雲の流れから、強い風が吹いていることが分かります。  この時、山頂の気温計は13.5℃を示していましたが、3時間が経過すると、景色は一変。霧に包まれホワイトアウト状態となっていて、少し進むとようやく登山者の姿が見えてきます。

 気温も7.6℃と6℃近くも下がり、まさに「山の天気は変わりやすい」という言葉を物語っています。

登山客
「すごかったですね。晴れたと思ってたら、またもうすぐ曇りとかになっちゃって」
「頂上着いたころまでは良かったんですよ。下り出したら強風。最悪でした」 午後、富士山は嵐のような強い雨風に見舞われていました。

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■“短パン・スニーカー姿”の外国人登山客

■“短パン・スニーカー姿”の外国人登山客

 去年、8合目の山小屋付近で撮影された映像です。空は暗いなか、登山道で横になっている人の姿が映っています。

 動画を撮影したのは、富士山の登山道の安全を確保する巡回指導員の太田安彦さんです。

太田さん
「弾丸登山するというのはとても危険かなと思います」  富士登山で問題となっているのは、ご来光を目当てに山小屋などに泊まらず、夜通しで頂上を目指す弾丸登山。そして、太田さんは軽装で歩く登山者たちに声を掛けて、注意を呼び掛けていました。  静岡側の山開きとなった10日も、「山に登らないでください」「危険です」と係員が外国人男性に注意しています。  かなり天候が悪化して視界もかなり悪い状況ですが、半袖にジーパン姿の外国人男性が、富士山に登ろうとしています。走って登っていきました。

 さらに別の場所でも、短パンにスニーカー姿の外国人登山客の姿が見られました。

外国人
「(Q.Are You OK?)Yeah yeah!」

 悪天候のなか、軽装の外国人登山客も少なくありません。

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■登山者意識不明 「写真撮影で後ろ向きに滑落」

■登山者意識不明 「写真撮影で後ろ向きに滑落」

 常に危険と隣り合わせの富士登山。8日の夜、吉田ルートの8合目付近で中国人の58歳の男性が意識を失い、その後、死亡が確認されました。

 先月には富士山の火口付近で、3人が倒れている状態で見つかり、いずれも死亡しました。そして、10日も…。

富士登山ナビゲーター
清水直司さん

「山頂でもう事故があったようです」  午後2時すぎ、富士山山頂の剣ケ峯付近で男性が倒れているのを他の登山者が見つけ、警察に通報。男性は意識不明の状態だったといいます。  番組が話を聞いたのは、夏の期間、山頂の浅間大社に住み込みで働いている植田めぐみさんです。  一報を聞き、植田さんが救助に向かう時に撮影した映像です。強い風が吹き、数メートル先が霧で見えない状態です。 植田さん
「写真撮影をされていた方が、後ろ向きに滑落されたそうで…。足元見ずに1歩下がってしまったみたいで、断崖絶壁のところから足を踏み外して、逆さに背中から落ちたのかと思うんですけど…」
「私たち1時間心臓マッサージをしたんですけども、AEDも全く反応しない状態で…」

植田さんによると、山開き直後は特に注意が必要だと指摘します。

植田さん
「この7月の開山時期というのは、まだ梅雨も残っていたりだとかで、すごく海側からの風が強く吹いたりだとか、傘雲ができやすいため洗濯機の中にいるようなグルグルとした風が吹きますので。頂上は風が強く、前に進むのがやっとだったりとか…」

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■「静岡側に登山客集中」の懸念も…

■「静岡側に登山客集中」の懸念も…

去年、富士山を訪れた人はおよそ22万人。そのうち6割が、山梨県側のルートからの登山でしたが、今年から吉田ルートでは事前予約制になりました。 警備員
「リストバンドお見せください」

 さらに、一日あたり4000人の入場規制と、1人2000円の通行料を導入しました。

 一方、10日に山開きとなった静岡県側では、山小屋の予約状況などを「事前登録」するシステムが運用されましたが、強制力はありません。

 また、登山者数は制限せず、通行料も導入されていません。

登山客
「(山梨側には)ちょっと行きにくくなりますね」
「それもあって、こっちから登ってこっちから下りようって」
「(Q.静岡側が料金が)かからないから」

 こうした状況に「静岡側に登山客が集中するのでは」との懸念の声もあります。

清水さん
「向こう(山梨側)は閉鎖になると(静岡側が)増えるのかなって思ったりする。8月のお盆の時にアジアの人が大挙してやってくるんです。とても不安。心配です」

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■登山ルール、山梨と静岡に違い?

■登山ルール、山梨と静岡に違い?

 10日も天気の急変があったりと、まだまだ富士山を登るうえでは注意が必要ということですが、その静岡側のルートが開通山開きとなり、すべてのルートから富士山に登れるようになりました。

 山梨県側と静岡県側、それぞれ登山に関するルールというのが異なっています。

 山梨県側では、一日あたりの上限が4000人までとなっています。午後4時から午前3時まで登山口にあるゲートが閉鎖される形で、入山規制があります。通行料は1人あたり2000円かかり、通行料の前払いという形で事前予約が必要となっています。

 では、10日にルートが開かれた静岡県側はどうなのでしょうか。

 静岡県側では、人数制限はありません。午後4時以降の自粛要請という形で、入山規制の強制力はありません。通行料もかかりません。事前登録は必要となっていて、登山をする時間や、山を登るうえでのルールなどの事前学習が必要です。当日の登録も可能だということでした。

 この2つを比べると、静岡県側の方がルールとしては少し緩く優しいところがあるように思えます。そこには、規制ができない静岡県側の事情があるようです。

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■今後の登山に関する規制は

■今後の登山に関する規制は

 1つ目の理由は、静岡県ルートの8合目までが国有地でゲートを設置するなどと考えた場合、国との調整が必要となっているハードルがあります。

 2つ目の理由は、費用対効果です。山梨県側のルートは1つに対し、静岡県側のルートは3つあるため、人件費やゲートの設置などでコストがよりかかってしまいます。

 そして3つ目の理由は、静岡県ルートには脇道が複数あり、脇道すべてにゲートを設置するのかというと、難しい事情もあるそうです。

 そうしたなか、去年1年間で富士山に登った登山客の人数はおよそ22万人で、割合で見ていくと6対4で山梨県ルートの方が人数としては多くなっていました。

 では、今年それぞれ山開き初日の人数はどうだったのでしょうか。

 今月1日の山梨県ルートの初日6合目の人数が1082人。一方、10日の静岡県ルートの初日は事前登録だけでおよそ900人。6対4という去年と比べると、5対5に近いような比率になっています。

 静岡県の担当者は「山梨県側の登山規制の影響がどう動いていくのか全く見えない。今後、注視していかないといけない」と話しています。

 そして静岡県側は今後、登山に関する規制をしていくのかどうかについては、「静岡県ルートにおいて今年は登山客10万人ぐらいを見込んでいる。来年の夏から一定の規制が必要になる可能性もあるが、ハードルがあるということで検討をこれから始めるところだ」ということです。

(「羽鳥慎一 モーニングショー」2024年7月11日放送分より)

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