オンライン面接では、パソコン画面よりカメラを見ながら話した方が有利――。そんな実験結果を広島大の研究グループが発表した。「面接を受ける人は、少しでも目線をカメラに向けるよう心がけては」としている。

 発表したのは、広島大大学院の山根典子教授(言語学)と進矢正宏准教授(スポーツ科学)の研究グループ。

 一般的に、パソコンの内蔵カメラや外付けカメラは、画面の上部に取り付けられている。そのため、面接担当者の顔が映っている画面を見ながら話すと、目線はカメラから少し外れることになる。研究グループは、こうした目線のずれがオンライン面接にどのような影響を与えるかを調べた。

 実験では、男女それぞれ6人の学生に、自分の強みなどを60~90秒ほどで自己PRしてもらう模擬面接を実施。カメラを見ながらと、画面を見ながらの2パターンを録画した。

 その後、面接担当者役の20~60代の社会人38人に、カメラ目線▽画面目線▽音声のみの3パターンの動画を4本ずつ見て評価してもらった。評価項目は「親しみやすさ」や「社会的望ましさ」、「雇用したいと思うか」など6項目。

 その結果、カメラ目線の方が画面目線よりも全ての項目で評価が高かった。一方、カメラ目線と音声のみでは、評価に差はなかった。

 山根教授は「就職面接では、学生は内容を考えたり話す練習をしたりして用意周到に臨むが、目線のことは見逃しがち。目線が面接の評価に影響することが浮き彫りになった」と指摘。優秀な学生でも目線が合っていなかっただけで、低く評価されている可能性があるという。

 実験では、カメラ目線と画面目線の評価の差は、面接担当者役が女性の方が、「親密さ」や「社会的望ましさ」の項目で大きかったこともわかった。また男子学生より女子学生の方が「親密さ」の項目で、大きな差が生じたという。進矢准教授は「女性の方が、目線があっているかどうかに敏感なのかも。面接担当者の性別は偏らない方が良いかもしれない」としている。

 研究は、5月31日付で科学誌「サイエンティフィック・リポーツ」に掲載された。(大野晴香)

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