高知市立長浜小学校の4年生男児(9)が水泳の授業でおぼれて死亡した事故で、この授業では、バタ足の練習の前に、壁を蹴って水面を進む「けのび」の練習をしていたことがわかった。「けのび」では、前方で教員に受け止めてもらう必要があるが、教員は記憶がないと話しているという。

 市教育委員会は「男児が授業のどのタイミングでおぼれたかを把握できない」としている。

 市教委の説明では、水の中に沈んでいた男児を同級生が見つけてプールサイドに引き揚げ教員に知らせたのは、バタ足の練習をしていた6日午前10時50分ごろ。

 場所は縦25メートルのプールの真ん中付近(水深約130センチ)で、泳ぎが苦手だった男児の背丈より深いエリアだった。

 バタ足の前に行われた「けのび」の指導では、児童たちは壁を蹴って進み、前方で先生に受け止めてもらう。

 ただ、市教委が、この授業で指導や子どもの安全監視にあたっていた教頭と学級担任2人の教員計3人から聞き取ったところ、いずれも男児の記憶がないとしたという。

 教員たちが男児の姿をプールで最後にはっきりと確認したのは「児童たちがプールに入った最初のころ、飛び込み台に近い浅いエリアにいる姿だった」という。

 9日に朝日新聞の取材に応じた遺族は「うちの子は泳ぎができないし、やせていて小さくて浮力もない。『けのび』で先生に受け止めてもらえなかったのではないか」などと学校側の対応などへ不信感を示した。

 水泳の授業は、長浜小のプールが設備故障で使えず、近くの市立南海中学校のプールで行われた。

 市教委は第三者委員会を設置し、事故原因などを解明するとしている。(原篤司、亀岡龍太)

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