兵庫県の斎藤知事のパワハラ疑惑をめぐり、問題を告発した県の元幹部が亡くなったことが、関係者への取材で分かりました。自殺と見られています。

関西テレビは、6月末に、この元幹部から疑惑を告発した思いを直接聞いていました。

■「うそ八百。公務員失格」厳しい言葉で告発を真っ向から否定した斎藤知事

8日午後、パワハラ問題を調査する百条委員会の奥谷委員長が急きょ、報道陣の取材に応じました。

【百条委員会 奥谷謙一委員長】「本当に、痛恨の極みであります。大変残念に思います」

元西播磨県民局長(60)について「職員からの人望が厚い人だった」と話しました。

元県民局長はことし3月、斎藤知事が職員を怒鳴りつけるハラスメント行為など、7つの疑惑を告発する文書を配布。

当初、斎藤知事はこれを真っ向から否定しました。

【兵庫県 斎藤元彦知事 今年3月】「事実無根の内容が多々含まれている。名誉棄損や信用失墜、綱紀粛正、看過できない。業務時間中にうそ八百含めて、文書を作って流す行為は公務員として失格です」

この会見を受け元県民局長は次のようにコメントを出していました。

【元県民局長のコメント】「私がいかにも事実無根の誹謗中傷をまき散らしたかのように世間で思われ続け、不公平です。ずさんな会見で人間が一人、社会的に抹殺されようとしています。そのことを十分に理解すべきです」

内部調査の結果、県は告発文を「事実無根」と判断し、元県民局長を停職3カ月の懲戒処分としました。

■告発内容が「うそ八百」でないことが徐々に判明 強い調査権を持つ「百条委員会」設置される事態に

しかし、その後、告発文に書かれていたコーヒーメーカーの贈答について、幹部(55)が企業から受け取っていたことが判明。

さらに、知事も公務中に20メートル歩かされて職員を厳しく叱責したことを会見で認めるなど、告発文の内容が「うそ八百」でないことが分かりました。

結局、第三者委員会で再調査することが決まり、議会にも強い調査権を持つ「百条委員会」が設置されました。

そして、元県民局長は7月に行われる百条委員会の3回目の会合に証人として出頭する予定でしたが、7日、兵庫県内の親族の家で死亡しているのが見つかりました。関係者によると、自殺とみられ、遺書があったということですが、理由は今のところ分かっていません。

元県民局長が亡くなったことについて、百条委員会の委員長は…

【百条委員会 奥谷謙一委員長】「百条委が立ち上がってから、ご本人に大きなプレッシャーがかかっていたということはあるかもしれません。それについて私自身もよく把握していなかったのは反省点としてあるかと思います。文書の事実については元県民局長の証言が重要であったのは間違いありませんが、今後も調査委員会として最大限の努力をして真相の解明にあたりたい」

関西テレビは6月、元県民局長に直接会い話を聞いていました。告発文を書いた理由について、元県民局長は、「多くの職員が私と同じ気持ちだと思う。後輩たちのために県政が変わってほしい」と話していました。

■亡くなった元県民局長に取材した記者「前向きな印象。このようなことになるとは想像しなかった」

問題を告発した職員への取材を続けてきた大野記者が中継で報告します。取材の中で最近の職員の様子をどう感じていましたか?

【大野雄斗記者リポート】「私はこれまで元県民局長とメールや直接会って連絡を取り続けてきました。最後に会ったのは6月末で、最後に連絡を取ったのは7月3日のことでした。現在停職3カ月中で、主に家で過ごしていると話していました。また百条委員会に出頭することが決まっていましたので、その準備でバタバタしていると話していました。
 さらに先ほど県に取材をしたところ、百条委員会が提出を求めた書類について、元県民局長から7日の午前10時ごろにメールで送付していたことが分かりました」

元県民局長は最近思い悩むようなことはあったのでしょうか?

【大野雄斗記者リポート】「直接会って話した感じですと、精神的なダメージを受けているような印象は正直感じませんでした。出廷する予定だった百条委員会でも、質問されるのが嫌だつらいというような状態ではなく、『もちろん出ます』と覚悟しているような様子でした。また出頭後も報道陣の取材を受けることも検討していると、前向きな印象でした。
 さらに『後輩たちがのびのびと仕事できるような県政になってほしい』と話していて、『今の県政は意思決定のプロセスが正常ではなく、後輩たちが適切な評価を受けられていない状況』だと。そういったことが許せず、抑止になればという思いで告発文を出したと話していました。
 取材の中で百条委員会が終わった後のことについても元県民局長は考えていましたので、正直こういったことになるとは全く想像もしていませんでした」

■元県民局長の死亡を受け斎藤知事「心からショック」「私の発言の表現に行き過ぎた点があった」

今回の件を受けて、8日午後5時、兵庫県の斎藤元彦知事がコメントをしました。

【兵庫県 斎藤元彦知事】「元局長が亡くなられたことについて、大変心からショックを受けています。心からお悔やみを申し上げたいと思っています。
 (百条委員会に)証人として出廷されるということですから、心理的なご負担はあったというふうに推察します。百条委員会に対応される職員への心のメンタルケアについては、対応させていただく準備をさせていただいていたところでした。
 その当時の会見で、私の発言というものは、これまで議会でも説明させていただきましたけれど、表現は行き過ぎた点があったということで、大変反省するところがあります」

■あなたの気持ちを受け止めて一緒に考えてくれる相談窓口があります

生きづらさを抱えた人たちのための相談窓口があります。
■#いのちSOS (特定非営利活動法人 自殺対策支援センターライフリンク)
「死にたい」「消えたい」「生きることに疲れた」など、あなたのそんな気持ちを専門の相談員が受け止め、あなたの状況を一緒に整理し、必要な支援策などについて一緒に考えます。
電話番号 0120-061-338 おもい ささえる(フリーダイヤル・無料)
実施日時 月曜日~日曜日00:00~24:00(毎日24時間)

■厚生労働省の相談窓口案内
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/jisatsu/soudan_tel.html

(関西テレビ「newsランナー」 2024年7月8日放送)

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