今月から銀行では…
「法律に基づいて、預金口座の受付時に、マイナンバー付番(ひも付け)の意思確認をさせていただいております。いかがなさいますか?」
都内にある銀行の窓口で、担当者が顧客に確認していたのは、口座とマイナンバーをひも付けるかどうかです。
この銀行では、今月から新しく口座を作る顧客に、意思確認を始めました。実際にマイナンバーと口座をひも付けるかどうかは、顧客が選択します。
説明を聞いた人たちからは、こうした確認が始まっていることを知らなかったという声が多く聞かれると言います。
きらぼし銀行 藤原知子 事務統括部長
「銀行としては、強制的に申し込まなければならないなど、間違った理解にならないように丁寧に説明しています。お客様の希望でひも付けをしたい場合にだけ、専用の用紙を書いていただくように案内しています」
サタデーウォッチ9(4月20日放送)
<口座管理法のポイント>
▽金融機関に新規口座のマイナンバーとのひも付け確認を義務化
▽ひも付けるかどうかは、利用者が任意に選ぶ
▽今後、複数の金融機関にあるすべての口座をまとめてひも付けることも可能に
▽あらかじめひも付けておくことで、災害時や相続時の手続きが簡略化
一方、SNSでは「4月1日以降に自治体などから届く書類に返送しないと、全預金口座が自動的にマイナンバーにひも付けされる」などとする不正確な情報が拡散しています。
デジタル庁は「マイナンバーが全ての口座に強制的にひも付けられることはない」としています。
なぜ不正確な情報拡散?詳しくはこちらの記事で
マイナンバー制度と情報管理に詳しい影島広泰弁護士に、口座のひも付けについて聞きました。
影島弁護士は、マイナンバーと口座のひも付けをめぐり不安や誤解が広がっている背景には、制度について国の説明が不足していることが根本にあるとして、より丁寧な説明が必要だと指摘しました。
影島弁護士
「これまでに起きてきたひも付けのミスなどのトラブルによって、国民にはマイナンバーがずさんに取り扱わているように感じたり、”情報が漏えいしてしまうのではないか”といった不安があります。国も世論を気遣って説明が十分にできていない印象があります。制度の必要性や、ひも付けによって具体的に何が変わるか、国はより分かりやすく丁寧な説明に努めるべきだと思います」
その上で、マイナンバーを利用して照会できる情報は行政機関ごとに法律で必要最低限の範囲に限られていて、口座をひも付けることに対して過度に心配する必要はないと話しました。
影島弁護士
「行政に口座の情報を監視されてしまうのではないかといった不安の声もみられますが、すでに行われていた行政手続きにマイナンバーを活用できるように変わったというものです。例えば、税務調査ですとか、社会保障で本当に資格があるかどうかを調査するということであれば、それは今までもやってきたことですから過度に不安になる必要はないと思います。
またマイナポータルで、行政機関がマイナンバーを使って自分のどういう情報のやり取りをしているのかとか、どういう情報を持っているのかということを知ることができるようになってるので、心配な場合は、そういった情報も確認するとよいのではないかと思います」
デジタル庁の説明は【Q&Aで詳しく】
デジタル庁にも今回の制度で、どこまでのひも付けが行われるのかについて詳しく確認しました。(※主な内容をQ&A形式でまとめました)
Q. 口座管理法では、ひも付けがどこまで行われる?1つすると、すべての預貯金口座が自動でひも付けられる?
A. 口座管理法で、義務化されたのは「金融機関が利用者に対して、新規の口座開設の際に、マイナンバーと金融機関の口座をひも付けるかどうかの意思確認をすること」などです。利用者がマイナンバーを届け出る義務はなく、希望者のみがマイナンバーと口座がひも付けされます。
また、今年度中には1つの銀行で、マイナンバーと口座のひも付けを届け出た際に、希望すれば、ほかの金融機関の口座とのひも付けもまとめて行うことができるようにんなります。こちらも任意で、1つの金融機関の口座をひも付けたとしても、すべての金融機関の口座が強制的にひもづけられることはありません。
Q. すでに口座を持っている場合はどうなる?
A. マイナンバーとひも付けを希望する場合は、金融機関の窓口などで受け付けています。すでにある口座の場合も、ひも付けるかどうかは任意で、自動的に行われるものではありません。
Q. そもそも、口座管理法の目的は?
A. 相続時や被災時の備えとして役立つことを目指しています。例えば、相続手続の際に、亡くなった人の口座がどの金融機関にあるか確認できるようになり、あらかじめマイナンバーと口座をひも付けておけば、相続人による照会が簡略化されます。また、行政手続などの効率化にも資することとなります。
Q. 預貯金口座をひも付けると、所得・資産の情報が国に伝わる?
A. これまでも国が預貯金者の口座情報を確認できるのは、法令に基づいて、必要な社会保障の資力調査や税務調査などを行う場合に限られています。これら調査などにおいて、マイナンバーを使って本人の預貯金口座を特定・確認する可能性はあるものの、これら調査など以外で国が預貯金者の口座情報を確認することはできません。
Q. マイナポイントを受け取るために口座登録したが、関係はある?
A. マイナポイントを受け取るために登録した口座は「公金受取口座」です。緊急時の給付金などを迅速に支給するためのものです。口座管理法とは別の制度で、公金受取口座が登録されているからといって、金融機関への届出なく預貯金口座へのマイナンバーのひも付けがおこわなれることはありません。
Q. 年金の受取口座は自動的に登録される?
A. 5月27日に施行される「改正マイナンバー法」で、給付を受けている人に対して書留郵便などで通知した上で、同意を得た場合、または、一定期間内に回答がなく同意したものとして取り扱われる場合には、国はその給付を受けている口座を公金受取口座として登録可能になります。
こうした対応を想定しているのは、現在のところ年金受給者のみで、郵便を送る時期もそれに向けた準備を進めている途中であり、決まっていません。なお、この郵便は日本年金機構から届きます。
また、もし返信することを忘れてしまい公金受取口座として登録された場合であっても、マイナポータルや金融機関の窓口などにおいて、登録された口座の変更や抹消をすることができます。
Q. 「通知に回答しないと、すべての口座が強制的にマインバーにひも付けられる」ということはない?
A. ありません。国に登録される口座は、あくまで「公金受取口座」の1つだけで、この制度で国が把握できるのは誰がどの金融機関の口座を公金受取口座として登録しているかのみで、個人の資産がわかるようになるものではありません。
ひも付け 確認したいときは?
公金受取口座については、パソコンやスマートフォンの「マイナポータル」から確認できます。
ログインした上で、登録状況の確認から、公金受取口座を選択することで、確認や変更・削除などが可能です。
一方、金融機関で口座を新しく作るときにマイナンバーとひも付けた場合は、金融機関から郵便やメールなどで送られてくる通知で確認することになります。
マイナンバー制度はさまざまなトラブルが相次いでいることもあって、多くの人が不安を感じています。国にはより丁寧な説明が求められていますし、私たちも不正確な情報を安易に拡散しないために、公式ホームページなどを確認することが大切です。
サタデーウオッチ9(4月20日放送)
サタデーウオッチ9
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