気象庁は、大規模地震で津波警報が長時間続いた場合の記者会見や報道発表での情報発信を見直す。住民の不安軽減のため、新たに、過去の地震を引用して「少なくとも半日から1日程度継続の見通し」と伝えたり、警報が続いている根拠を示したりする。19日に同庁の有識者検討会がまとめた報告書に沿って順次改善するとしている。

気象庁は、地震発生直後に津波から早めの避難を促す情報を重視してきた。一方、南海トラフや日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震では、警報が長引くと予想される。危険な場所に戻らず避難を続けてもらうことや、津波リスクの高い場所での人命救助などに当たる関係機関の判断に役立つ情報の出し方を充実させる必要があると判断した。

新たな情報発信では、今年1月の能登半島地震の場合、「1983年日本海中部地震や93年北海道南西沖地震などの観測記録から少なくとも半日から1日程度は津波の高い状態が継続する」と呼びかける。高い津波を観測中であることや、シミュレーション結果を基に警報が継続する根拠も解説する。

津波と満潮が重なり、潮位が上昇する可能性を注意喚起するため、満潮の時間帯や地域を示す。津波の消長の推移を表した「津波波形」も説明する。

検討会は昨年12月に設置。当初、警報「解除」の見通しを示すか議論したが、安全情報と受け止められる懸念があるとの意見が出て「継続の見通し」と伝えることに落ち着いた。最新の津波の高さを公表するのは、最大波より低い場合があるため、将来の検討事項となった。

報告書の提案は、これまで記者会見で、報道機関から質問があれば答えていた内容も多く、担当者は「今後は積極的に説明できるよう準備したい」と話している。〔共同〕

▼津波警報 地震が発生した際、気象庁が3メートルを超える津波を予想した場合は大津波警報、1メートルを超え、3メートル以下は津波警報を発表する。いずれも人は流れに巻き込まれる恐れがあるため、高台や避難ビルなど速やかに安全な場所へ逃げる必要がある。

大津波警報では、木造家屋が全壊・流失する被害が想定される。予想する津波の高さは、地震の規模や位置から求める。大津波警報と津波警報は、0.2メートル以上で1メートル以下を予想した場合の津波注意報とともに、地震発生から3分を目標に発表している。

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