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 青森県の八戸で、マイワシが異例の大豊漁。そして、宮城の気仙沼では高級魚「マダイ」が例年の30倍以上の水揚げ量となっている。

■大豊漁で…運送業者や製氷業者も歓喜

 網いっぱいに詰められ、水揚げされているのはマイワシだ。次から次へと勢いよく網から出てくるマイワシは、大量すぎてこぼれ落ちるほど。  マイワシに釣られウミネコも大量に飛来し、空を埋め尽くしている。

 八戸では先月初めから異例の豊漁が続いている。

漁師
「6月あたりから豊漁です。市場がパンクするぐらい」  八戸ではここ10年、一日の漁獲量は多いときで1500トンほどだったのが、先月13日には2911トンと倍近くを記録したという。

 マイワシ豊漁の影響はこんなところにも出ている。

運送業者
「最高だね。漁があるからね、仕事ができるから。この後は、これ(マイワシ)を工場に行って降ろして、また戻ってくる」
「(Q.また戻ってくる?)戻ってきて、また積む」
「(Q.1日多くてどれくらい行き来する?)3回から4、5回ぐらい」

 マイワシの豊漁で大忙しなのは運送業者だけではない。

漁船の船長
「10トン」
「(Q.今の10トンというのは?)氷。魚腐ってしまうでしょ、入れないと。氷で冷やして」

 とった魚を船で冷やすために必要な氷。水揚げされたマイワシを運ぶ時にも鮮度を保つために大量の氷が必要になるという。

 港のすぐ横にある八戸魚市場 製氷工場では、マイワシの豊漁により、工場をフル回転して氷を製造しているという。 株式会社八戸魚市場 冷凍部
尾崎勝行部長
「(Q.これ全部氷ですか?)これ全部氷」
「(Q.1日どれくらい製氷するんですか?)これは100トン」
「この通り漁があれば氷も出るし、だいぶ助かっています。例年はこんなにとれることがないので」 仲買業者
「いろんな業者さんがここで生活しますので、八戸の全体に対する経済の波及の効果も目に見えない形であるのかなと思っております」

 漁師だけでなく運送業者や製氷業者などマイワシの豊漁でにぎわう八戸漁港。

 しかし、ここでマイワシを水揚げしているのは、地元の漁船だけではなく、南の茨城や千葉から来た船。 茨城の漁師
「(Q.なぜ茨城から?)南の方がイワシがいないので、イワシを追いかけて」
「銚子とか千葉とか茨城沖で。こっちに北上してきたので、それを追いかけてこちらまで来ました」

 地元の千葉や茨城沖ではマイワシがほとんどとれないため、マイワシを追いかけて北上してきたのだという。

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■千葉・調子では“入梅いわし”が激減

■千葉・調子では“入梅いわし”が激減

 一方、千葉県の銚子漁港では…。

漁業関係者
「入梅の時期に“入梅いわし”が全然あがらない」

 梅雨の時期(6月〜7月)に水揚げされるマイワシは“入梅いわし”と呼ばれ、1年のうちで最も脂がのっている旬の食材なのだが、今年は水揚げが激減。

 地元の料理店は“入梅いわし”を確保するのに四苦八苦している。

いわし 地魚料理 香海
畠山智店主

「温暖化で、昔は銚子沖に漁場があったのが、どんどん(イワシが)北にいっちゃってる。だから今、大きい船はほとんど八戸、三陸あたりに行っちゃって、あまり大きくない船がこっち(銚子沖)でとっている」

 市場へ買い付けに来た男性も、こう話す。

銚子もん 佐藤則裕社長
「きょうはない。イワシはゼロ。本来は今(の時期)なんだけど、商品にするようなイワシは出会えてない」

 イワシが消えた理由について、専門家はこう指摘する。

東海大学 山田吉彦教授
「海水温が上がってきたために、マイワシが生息する適温の海域がかなり北に移っている。数年前に千葉から茨城沖の海水温の状態が今、岩手、青森沖まで移ってしまっている」

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■去年12月には…函館でマイワシの異変

■去年12月には…函館でマイワシの異変

 4月には北海道の港の中にマイワシの大群が現れ、水中にカメラを入れると画面を覆い尽くすほどのおびただしい数のマイワシ。港では釣り人たちが次々とマイワシを釣り上げていく。

 マイワシの異変は去年の12月にも…。

函館市民(去年12月)
「嫁にきて60年経つけど、こんなの(今まで)ないよ」  海面を覆い尽くしているのは、おびたたしい数のマイワシ。まるで“マイワシの波”が押し寄せているような光景だ。砂浜はあたり1面積み重なったマイワシで銀一色になった。

 函館市で1000トンを超えるマイワシが打ち寄せられているのが見つかり、重機などを使った回収作業に追われた。

山田教授
「ここ1年で(マイワシが)じわりじわりと北に上がっている。日本の海の状況がかなり変わってきている証拠になっていると思います」

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■高級魚マダイの水揚げ30倍も…「食べる習慣ない」

■高級魚マダイの水揚げ30倍も…「食べる習慣ない」

 一方、同じ東北でも三陸沿岸の気仙沼沖では、こんな異変が起きていた。

 三陸沿岸の近海で行われている定置網漁。これまであまり見かけなかった魚が大漁にとれているという。

 言わずと知れた高級魚「マダイ」。4〜5年前から定置網にかかるようになり、気仙沼市魚市場でのマダイの水揚げ量は、4月末時点で例年の同時期に比べ30倍以上の水揚げ量となっている。 定置網漁師
「この子たち(マダイ)は今年すごかった。いっとき1回で2〜3トンくらい(とれた)」

 マダイの漁獲量といえば、長崎や福岡、愛媛など南の海の方が多いが、なぜ今、東北の気仙沼で大量にとれるようになったのか?

山田教授
「(千葉の)九十九里沖まで来ていたものが、黒潮の勢いが強くてさらに流されて三陸沖までやって来ることになっています」  山田教授は、千葉・房総沖などに生息していたマダイが暖かい黒潮に流され、三陸沖で定着した可能性が高いと指摘する。

 さらに近年、気仙沼ではコウイカやタチウオ、ヒラマサなどの“南の魚”が数多く水揚げされるようになったという。

定置網漁師 須賀良央さん
「網をあげて1〜2割、多いときは3割。日にもよるが、大体3割ぐらいの感覚で(“南の魚”が)入っている」

 高級魚のマダイが大量にとれ、喜ばしい状況かと思いきや関係者はこう話す。

仲買人
「見慣れない魚は、地元客にはなかなか売りづらい。そういう食べる習慣もないし、ちょっと浸透しづらい」  気仙沼市の鮮魚店をのぞいてみると、丸ごと1匹のマダイについていた値札は、なんと500円。都内のスーパーで購入すれば、およそ2000円はするというが…。
「めっちゃ安いんじゃないですか。タイがかわいそうですよね」
「この値札を見てビックリしました。この値段で買えるんだと」  さらに店内には近年、水揚げ量が急増している「コウイカ」も並んでいる。西日本では寿司ネタとして高級店に卸されることも多いというが、ラベルに記載されている商品名は「コウイカ」ならぬ「その他鮮魚」。

 一方で、気仙沼で主力の魚だったサンマやサケは長年不漁となっていて、水揚げされる魚種の変化に地元の人も困惑しているという。

お魚いちば 小野寺浩之さん
「ここ数年、“南の魚”がだいぶ増えてきまして、マダイもしかりですけど、食べる習慣がない土地柄なんで売り方に苦労しています。本来の三陸の海ではなくなってきているんじゃないかなというのは感じています」

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■“悪魔のサメ”北限記録更新か

■“悪魔のサメ”北限記録更新か

 さらに、宮城県沖の海ではこんな異変も起きている。

来場者
「宇宙人、妖怪みたい」  5月に展示が行われた「ミツクリザメ」。およそ1000メートルの深海に生息するサメで、口を大きく開けるとアゴが飛び出す姿から“悪魔のサメ”との異名を持つ珍しいサメだ。  これまで生息が確認されていた北限は茨城県沖だが、今年4月に女川沖で底引き網漁船により捕獲された。 仙台うみの杜水族館 大谷明範さん
「最初に連絡いただいたときは、違う生き物かなと思いました。もともとミツクリザメが宮城県沖にいるものではないと思っていましたので」

 北限記録更新の可能性が高いミツクリザメ。現在は研究機関に引き渡され、分布域や生態などについて詳しい解析を進める予定だという。

(「羽鳥慎一 モーニングショー」2024年7月5日放送分より)

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