「名字一つで何もかもが変わるだなんて、悲しすぎます」。NHKの朝ドラ「虎に翼」で主人公がもの申す場面がある。夫婦で「家」の姓を名乗る時代から、戦後、いずれかの姓に合わせる時代へ。そして今、2人の姓が違ってもいい「選択的夫婦別姓」を求める声が高まる。日本弁護士連合会で女性初のトップに就いた渕上玲子会長(69)も力を入れる課題だ。
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「日弁連が大きな社会的インパクトを与えられるとしたら?」
4月下旬の日本記者クラブでの会見で、就任間もない渕上会長はそう問われ、答えた。「選択的夫婦別姓は必ず実現に向け活動していかなければいけない」
民法750条は「夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する」と定める。だが実際は、女性側の改姓が多い。厚生労働省の統計によると、2022年に婚姻した夫婦の約95%が「夫の氏」を名乗っている。渕上会長は「家制度が感覚として根強く日本の社会や文化に残っている」とみる。
日弁連が初めて選択的夫婦別姓の導入を求める決議を採択したのは、1993年にさかのぼる。法の下の平等をうたう憲法14条や婚姻における両性の平等を定めた憲法24条のほか、女性差別撤廃条約などに反するとして、民法の改正を求めた。
法務相の諮問機関「法制審議会」が96年、改正案を答申。だが、自民党の反対で国会提出が見送られた。最高裁は2015年と21年、現在の制度を合憲と判断した一方、国会での議論を求めた。今年6月、経済界から政府に対し早期導入を求める提言があり、自民党は党内での議論を再開させる予定だ。
一進一退の中、日弁連は導入を求め繰り返し声を上げてきた。6月14日の定期総会でも国に導入を求める決議を採択した。
「しつこくしつこく言い続けていかないと」。渕上会長は実現に向け、国会への要請を続けるという。(花房吾早子)
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