7日投開票の東京都知事選で、政見放送を耳の不自由な人たちに分かりやすく伝えようと、手話通訳と字幕をつけた上映会が6日、港区芝の会場とオンラインで開かれる。情報を得る機会が限られる難聴者らの権利を守ろうと、主催者らは参加を呼びかけている。(鈴木里奈)

◆文字情報だけでは分からない立ち振る舞いなども見て

 当事者団体などでつくる都聴覚障害者の参政権保障委員会が主催。30年ほど前から選挙のたびに開いてきた。今回の都知事選での上映会は6日午後1~4時、港区芝5の障害者福祉会館で先着65人。オンライン視聴は定員80人。視聴方法の詳細を5日、都聴覚障害者連盟のホームページで公開する。  都道府県知事選では、テレビの政見放送に任意で手話通訳がつくものの字幕はない。映像の持ち込みができず放送局での収録だけで、字幕の内容確認に時間がかかり、導入が難しいとされている。経歴放送では名前と所属が映し出されるだけで、手話も字幕もない。

上映会に参加を呼びかける小川光彦さん=港区の都障害者福祉会館で

 委員の1人で、全日本難聴者・中途失聴者団体連合会理事の小川光彦さん(62)は、4歳から聴力が低下。普段は補聴器をつけて生活する。選挙では新聞や選挙公報で候補者の情報を得るが「文字だけでは人となりが分からない。生の声や動き、立ち振る舞いなどを見られるのは政見放送だけ」と話す。  最近は交流サイト(SNS)で候補者の主張を確認できるようになったが、放送に字幕や手話が義務化されないのは「耳が不自由な人の排除につながる」と指摘。「上映会は選挙活動の内容を理解するために大切。私たちの権利を守る活動に、聞こえる人も注目してほしい」と求めた。 

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