2日、西日本では道路が冠水するほどの大雨となった。一方、東京や埼玉では30℃を超えて真夏日となった。
こうした暑さの影響で、高級フルーツのシャインマスカットや佐藤錦に異変が起きている。
■濁流に車…崩壊寸前の橋
2日、九州北部は梅雨前線の影響で大雨となった。仕事で移動中に道路が冠水。タイヤが重く、スピードが出ないことに困惑するドライバー。隣の車線を走るトラックからは、大きな水しぶきが上がりフロントガラスを直撃、視界が遮られる。初めての経験に、恐怖を感じたという。
北九州市でも道路が冠水。坂道からは、轟音(ごうおん)とともに茶色く濁った濁流が押し寄せ、ものすごい勢いに行き場を失った水は、道路から滝のように何本も落下している。
福岡県では八女市黒木で、2日午前11時までの72時間の降水量が288ミリを記録するなど、各地で大雨になった。
山口県下関市でも、1時間に58ミリと今年一番の非常に激しい雨を観測。視界がかすむほどの激しい雨に、水があふれ、ふたが浮き上がるマンホールもあった。市内では、増水した用水路が住宅を飲み込む寸前に。大雨による被害は、他にもあった。
大分県日田市では、国道を通る橋が崩れ通行止めになり、2つある橋脚のうち1つが斜めに大きく傾き、道路が折れ曲がり、危険な状態に。 近隣住民「うちの主人から連絡があって『橋が落ちた』と。もう想像以上でした。想像以上にすごいことに。(川の増水は)してました。午前中とかは、すごかった。怖いなと感じるくらい」 西日本で、大雨の影響が出ている一方、東京では2日、31.4℃と早くも今年8回目の真夏日となった。埼玉でも32.4℃と真夏日になった。 街の人
「これから、どれくらい気温上がっていっちゃうんだろうなって不安」
想定外の暑さに、深刻な影響を受けている人もいる。
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■高級「シャインマスカット」日焼け、実割れ…■高級「シャインマスカット」日焼け、実割れ…
フルーツ王国山形でトップクラスの生産量を誇るのが、エメラルド色に輝く「シャインマスカット」。大粒で皮ごと食べられると、人気のブドウだ。最高級品ともなれば、1房1万円という高級フルーツ。そんなシャインマスカットに、暑さの影響が出始めているという。
ソルルス 土屋隼さん「収穫は9月になるシャインマスカットの畑になります。これが高温の被害に遭ったブドウになります」
「(Q.見た目には、何が違うのか分からないですけど)軸が赤くなっていますね」
「(Q.すごく赤いですね)軸が赤くなると、水分をこう吸い上げても、ここに入りづらくなって。粒が大きく育たなくなるんですね」 正常なシャインマスカットの軸と比べると、確かに赤く色づいて見える。暑さの影響で、葉が十分に成長できず、軸の部分に直接日光が当たることで日焼けしてしまったのだ。
軸がダメージを受けることで、実に栄養がいきわたらないという。
本来なら丸々とした大粒の実になるはずが、小さな実しかできない可能性があるという。
さらに、成長をさまたげる今年ならではの現象も起こっている。
土屋さん「ブドウの畑に水を供給する川になっているんですけど」
「(Q.これ川ですか?もう完全に干上がっているというか)(この時期は)大量の水が必要なんですけど、それがないので」
梅雨入りが遅れたこともあり、6月の降水量は例年に比べて少なく暑い日が続いた山形県。川が干上がり、十分な水を与えられなかったことで、うまく実が成長できていないという。
しかし、これ以降は雨が降ると、実に悪い影響を与えるという。
土屋さん「これから大雨が降って雨を吸収して、実にどんどん水が入ると粒が大きくなって裂けるっていう症状『裂果』というんですけど、その症状が出ると大変なことになります」 裂果を起こしたシャインマスカット。エメラルドグリーンの大粒の実に、黒ずんだ傷が入っているのが分かる。中には、白く亀裂の入った実もある。
水分が不足している実に、ゲリラ雷雨のような大量の雨が一気に降ると、水を吸い過ぎて割れてしまうのだという。
土屋さん「(Q.裂けちゃうと、商品にはならない?)ならない。日焼けもそうですけど、『裂果』の方が怖いですね」
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■「佐藤錦」シワシワに…悔し涙の生産者■「佐藤錦」シワシワに…悔し涙の生産者
異変は、日本一の生産量を誇るサクランボにも…。 松栗 植松真二さん「今年、これお客さんに出せるかな?っていうようなものばっかりだったんで。本当にしんどかったです」
収穫時期を終え、一息つくはずの畑で涙を流すのはサクランボ農家の植松さん。植松さんの畑で栽培していたのは、1キロ1万円以上するものもある高級サクランボ「佐藤錦」。
つやつやと宝石のような大粒の実をつけるはずが…。
植松さん「これが佐藤錦なんですけど」
「(Q.これ佐藤錦ですか?全部シワシワになっていません?)全部水分が抜けて、ドライフルーツみたいに」 赤いルビーと呼ばれ、大粒の実が自慢のはずの“佐藤錦”は、その面影もなく“はり”や“艶(つや)”を失いシワシワに。触ってみると…。 植松さん
「(Q.ブニョブニョしていますね)ビニールハウスの中が40℃以上の温度になったりするんで、電子レンジで温めたみたいな状態になるんで」
6月、30度以上の真夏日が続いた山形県。雨に弱いサクランボを守るための農業用ハウスの中は、40℃を超える日も。あまりの暑さで水分が抜け、シワシワの状態になってしまったという。
植松さんの畑では、4割のサクランボが被害を受け、収穫量は平年の3分の1に。被害額は、およそ2000万円に上る。
植松さん「大不作と変わらないですね。1年間頑張ってきたその頑張りが、本当に踏みつぶされたような感じだったんで。精神的にちょっとしんどいですね」
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■やりきれない思いの中…追い打ちをかける作業■やりきれない思いの中…追い打ちをかける作業
山形県全体でも、サクランボの販売量は去年のおよそ4割にまで落ち込んでいる。 植松さん「サクランボ売ってくださいみたいな(畑に)訪ねてくる人がかなりいっぱいいて」
売りたくても売れないという事態に、無念の表情を浮かべる植松さん。やりきれない思いの中、追い打ちをかける作業がある。
植松さん「サクランボの軸が残ると、病気ついちゃうんで。来年に影響しちゃうんで、全部落とす作業をしています」
出荷できないサクランボを一つひとつ手作業で落としていかなくてはならないのだという。
植松さん「近所だけでも、今のところ3人の方から完璧にもう辞めるっていう。サクランボを作ることによってマイナス、マイナスで。どんどんお金がかかりすぎて。今後どうしていこうかなっていう不安と。不安しかないですね。本当にしんどかったんですよ」
年々厳しい暑さが常態化する中、苦労して育てても出荷できない状況がつづくなら廃業してしまおうという農家もいるという。
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■カブ&ブロッコリーに異変次々■カブ&ブロッコリーに異変次々
暑さの影響は果物だけではない。都内の野菜農家のカブ畑を案内してもらうと…。 カラフル野菜の小山農園 小山三佐男さん「今、カブが最盛期なので。その畑が、こちらになりますね」
「(Q.最盛期なのに葉っぱが枯れているんですね)暑さが尋常じゃなかったので」 収穫期を迎えているはずのカブ畑には、枯れた葉ばかり。カブの実は、どうなっているのか?畑から抜いたばかりの実を切ってみた。 小山さん
「(Q.中が空洞みたいになっていますね)スカスカになって“ス”が入っている状態になっていますね」
本来なら瑞々しいカブは、白くにごりスカスカの状態に。隙間や穴が開き、まるでスポンジのようにも見える。
高温障害の出たカブを食べてみたが、少しパサパサした感じがした。本来のカブとは全然違う。
小山さん「(Q.これでは出荷できない?)出荷できない。廃棄ですよね」
通常、カブを育てるには、地中の温度が30℃以下が適温というが…。
小山さん「(Q.(地中の温度)37.9℃ありました)やっぱり35℃以上だと、ちょっと危険ですよね」 土の中の温度が上がり過ぎたことで、異常を起こしているというカブ。こちらの農園では、およそ8割のカブを廃棄せざるをえない状況だ。さらに…。 小山さん
「こちらがスティックブロッコリーの畑になりますね」
「(Q.これが(スティック)ブロッコリーですか?)もう、お花が咲いちゃって、種が付くぐらいの勢いですよね」 スティックブロッコリーは、長い茎が特徴で、通常30センチほどに成長したころが食べごろ。今年は暑さの影響で成長が早く、1メートル以上にもなってしまった。 小山さん
「これも一種の高温障害で、作物のバランスが崩れちゃって。季節を勘違いして、このような状態になってしまうんですよね」
この時期にもかかわらず、花を咲かせてしまったという。
小山さん「農業やって15年目になるんですけど、13年目(一昨年)ぐらいから、不安な夏を迎えるようになってきたので。夏がつらくなりました」
(「羽鳥慎一 モーニングショー」2024年7月3日放送分より)
テレ朝天気
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