旧優生保護法(1948~96年、旧法)の下で不妊手術を強制されたのは憲法違反だとして、障害者らが国に損害賠償を求めた訴訟の上告審で、最高裁大法廷(裁判長=戸倉三郎長官)は3日、旧法を「違憲」とした上で、国に賠償を命じる判決を言い渡した。

 最高裁が法令の規定を憲法違反だと判断したのは、今回が戦後13件目だ。

 憲法98条は「憲法は国の最高法規」と宣言しており、憲法はすべての法律の上位に位置する。憲法に反する法律や命令などは効力がないとも明記されている。立法権を持つ国会は、具体的な個々の法律が違憲ではないかを検討して法を作らねばならない。

 ただ、憲法の条文の表現は抽象的で、解釈の余地がある。例えば13条は「国民は個人として尊重される」、14条は「国民は法の下に平等」などと記す程度だ。このため、国会の議論を経て成立した法律が結果として違憲とされる事態も起こってきた。成立時点は合憲であっても、社会の変化などを踏まえ、ある時点で違憲になった、とされたこともある。

 法律が違憲かを判断する役割を担うのは裁判所だ。中でも最高裁は、合憲か違憲かを最終判断する権限を持つと憲法81条で明記されており、「憲法の番人」とも呼ばれる。

 法律が違憲と判断されれば、国はその法律を改廃するなどの対応をとる義務を負う。改廃までには時間がかかることもあるが、その間も違憲とされた法規定はないものとして扱われる。旧優生保護法はすでに存在しないものの、司法による違憲判断に対し、国が今後、どう責任を果たすかが問われることになる。(遠藤隆史)

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