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受け取ろうとした保険金はなんと6億円。
自らに生命保険をかけたうえ、替え玉として知人を殺害した罪に問われた男の裁判で、懲役30年の判決が言い渡されました。

■ホテルにスズメバチ、ラーメンに睡眠剤…ずさんな手口

知人の大学生を殺害した罪などに問われている職業訓練生の南波大祐被告(33)。“替え玉保険金殺人事件”は、どのようにして行われたのでしょうか?

2021年11月、広島県廿日市市のホテルで愛知県の大学生・安藤魁斗さん(当時21歳)を殺害したとされる南波被告。

検察側の主張はこうです。
事件直前に、弟を受取人にして自身に災害特約を含めた死亡保険、6億3千万円をかけたといいます。
そして、安藤さんを自分の替え玉として、自分が死んだと偽って保険金をだまし取ろうとしたというのです。

南波被告は安藤さん殺害を計画し、2021年10月、名古屋市で安藤さんと会ったといいます。

この時、南波被告はホテルにスズメバチとその巣を設置。
スズメバチで安藤さんを殺害しようとしたのです。安藤さんに睡眠導入剤を飲ませ、部屋に連れ込みます。

実は南波被告、保険の外交員に、こう確認していたといいます。

南波被告(検察側の主張から)
「蜂に刺された時も災害(特約)になるか」

しかし、失敗。スズメバチはホテルの従業員によって駆除されていたのでした。

今度は南波被告の地元・広島市で2人は会い、原爆資料館などを観光したといいます。 南波被告は隙をみて、安藤さんの抹茶味の飲み物に睡眠導入剤を混入。おそらくこれを摂取したとみられます。
博多ラーメンにも入れましたが浅緑色になったため、安藤さんが取り替えて、失敗しています。 博多ラーメンにも入れたが浅緑色になり失敗

またしても、安藤さんをホテルに連れ込んだ南波被告。注射器などで安藤さんに大量のアルコールを注入するなどして、殺害したというのです。

そして、保険金の受取人の弟になりすまし、119番通報したといいます。

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■発覚のきっかけは“自分の母親”

■発覚のきっかけは“自分の母親”

南波被告の119番通報(検察側の主張から)
「被害者の名前は南波大祐だ。自分はその弟だ」

しかし、このあと事件が発覚。きっかけは母親でした。

検察側によりますと、安藤さんが病院に運ばれた約2時間半後には、保険金の受取人である弟になりすまし保険外交員に連絡したといいます。

しかし、検察側の言う南波被告の計画は上手くはいきませんでした。なぜ犯行が発覚したのでしょうか?

実は、病院が南波被告の母親と弟に連絡したのです。母親と弟が病院に駆けつけ、犯行が発覚したのでした。 裁判では、弁護側が殺意はなかったと主張する一方で、検察側は有期刑で最長の懲役30年を求刑しました。

南波被告は、当初、黙秘していましたが、裁判の最後に謝罪の言葉を口にしたのでした。

南波被告(最終意見陳述)
「安藤魁斗さんのご遺族のみなさまに心よりおわび申し上げます。自分が犯してしまった罪の重さと真摯に向き合い、日々反省しながら生きていきたいと思います」 そして、裁判長が下した判決は求刑通り、懲役30年でした。南波被告は、目はうつろで終始表情を変えることなく判決を聞いていました。 この記事の写真を見る(15枚)
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