進む高齢化 平均年齢 前年より0.57歳高く
日本被団協 被爆2世など次の世代へと引き継ぐ動き
岡山「二世部会」立ち上げ 被爆者支えながら 新たな活動へ
厚生労働省は昭和20年8月に広島と長崎に投下された原爆によって被爆し、被爆者健康手帳を持っている人の数などを毎年、取りまとめています。それによりますと、全国の被爆者はことし3月末時点で全国であわせて10万6825人となり、昨年度と比べると6824人少なくなっています。そして被爆者の平均年齢は85.58歳で、前の年より0.57歳高くなりました。被爆者が住んでいる場所は▼広島県が5万1275人と最も多く、次いで▼長崎県が2万5966人、▼福岡県が4311人、▼東京都が3557人などとなっています。原爆が投下されてから来年で80年となりますが、被爆者の高齢化が進む中で核兵器廃絶への取り組みをどのように継承していくのかが課題となっています。
日本被団協は1956年に設立された被爆者の全国組織です。かつてはすべての都道府県に所属する団体がありましたが、会員の高齢化で活動の継続が難しくなっているとして、これまでに11の団体が解散・休止していて、ことし5月には北海道の「北海道被爆者協会」が来年3月での解散を決めました。こうした中、被爆者の子どもの「被爆2世」や支援者など、次の世代へと引き継ぐ動きが広がっています。NHKが全国の被爆者団体に取材したところ、山梨県、富山県、島根県、高知県、大分県の5つの団体で被爆2世が会長や理事長など団体の代表を務めていることが分かりました。また、被爆2世や支援者が副会長や事務局長などとして団体の運営に関わっている団体は少なくとも24に上り、活動している団体の6割以上となりました。さらに、先月開かれた日本被団協の定期総会では被爆2世として初めて島根県原爆被爆者協議会の会長を務める本間恵美子さんが代表理事の1人に選ばれ、活動を被爆者から次の世代へと引き継ぐ動きが広がっています。
被爆者の子ども世代の「被爆2世」が中心となって、被爆者の活動を支えながら、これまでにない活動にも取り組む団体もあります。岡山県の「岡山県原爆被爆者会」は、被爆者の高齢化が進む中で被爆者の子ども世代が経験を直接受け継いで会の活動を継承していこうと、4年前に被爆2世で作る「二世部会」を立ち上げました。二世部会にはおよそ40人の被爆2世が参加し、証言会や企画展の開催など被爆者の活動を支援しながら、被爆2世の思いや若者の平和活動を紹介する会報を新たに発行するなど、活動を広く知ってもらうための取り組みに力を入れています。二世部会の部会長を務める木原賢一さんは、18歳で被爆した父親が16年前に亡くなったことをきっかけに活動に加わるようになったということで、「父親と一緒に活動していた周りの方から、生前の父が忙しい間に県北を回って、被爆者手帳を取りたい人の相談に乗ってあげるなどしていたということを亡くなった後から知った。そういった方々とお話をするうちに、自分ができることをやっていかないといけないと思った」と振り返りました。木原さんは岡山県原爆被爆者会の副会長も兼任していて、「被爆者の方と2世では年齢や世代の差もあるので意見が違っていて当たり前だが、一緒に活動していきながら問題があったらその場で解決することで被爆者の方の思いや考え方が分かってくると思う」と話していました。
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