能登半島地震で被災した石川県の5市町が仮設商店街の建設を予定していることが29日、各自治体への取材で分かった。7月1日で地震から半年。なりわい再生に向けた一歩となる。
仮設商店街は被災事業者の再建を支援するため、国が建設費を負担して自治体が整備。8月上旬にも志賀町で「第1号」が完成する見通し。仮設店舗に入って営業を早期に始めてもらうことで、再建に踏み出しやすくする狙いがある。
一方、被害の大きい地域では再建を断念する店もある。仮設商店街とは別に、個別事業者の本格再建に活用できる県の補助金もあるが申請はいまだ低調で、息の長い支援が課題だ。
被害が大きかった能登半島6市町で仮設商店街の建設を予定しているのは珠洲市、輪島市、七尾市、志賀町、穴水町。このうち志賀町では道の駅敷地内などに建設予定で、早ければ8月上旬ごろの完成を見込む。
七尾市の「一本杉通り」では、飲食店や理容店など4店舗が入居予定で、8月中旬にも完成。観光地、和倉温泉でも建設を計画している。穴水町では9月末ごろ完成予定で、町は各事業者が本復旧するまで、期限を切らずに入居を認める。
この他に輪島市門前町、珠洲市の中心部でも整備計画がある。「具体的な計画は未定」と答えた能登町は、商工会会員を対象に希望調査を実施している。
仮設商店街とは別に、石川県はなりわいの本格再建に向け、施設復旧費の75%を助成している。6月27日時点で県への申請は約150件にとどまり、うち交付決定は64件。担当者は「大規模な修繕や建て替えに踏み出すまでには至っていない」と指摘し、建物解体などが進むにつれて申請は増えるとの見方を示す。
6市町の商工会議所などへの取材では、少なくとも175事業所が地震後に廃業したか廃業を決めたことも判明。珠洲商工会議所によると、珠洲市の500以上の事業所のうち41が6月下旬までに廃業した。袖良暢事務局長は「地震で経営者を亡くし、後継ぎがいないケースがある」と漏らした。
輪島市の「輪島朝市」は地震による大規模火災で大半が焼失。朝市組合などの若手メンバーらが復興に向けた検討を進めている。〔共同〕
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