小林製薬の紅麴(こうじ)原料を使ったサプリメントで健康被害が相次いだ問題で、厚生労働省は28日、同社に報告された摂取後の死者数が79人になったと発表した。同社は問題を公表した3月以降、死者数を5人と公表していた。武見敬三厚労相は同日、「(同社に対し)死亡者数の確認をしたにもかかわらず、報告をしなかったこと」に対して、遺憾の意を示した。
本社がある大阪で消費者被害の問題に取り組む菅聡一郎弁護士は「そもそも問題の公表自体が遅かったが、公表後も健康被害が疑われる情報を把握しながら、速やかに報告していなかったとすれば問題だ。被害者救済のためには因果関係が不明の段階でも速やかに情報を公開する姿勢が求められる」と話した。
大阪弁護士会は4月、被害実態を把握するための無料電話相談会を開いた。同会の消費者保護委員会によると、2日間の相談件数は80件。男女比はほぼ同数で、50代からの相談が19人と最多で、幅広い年代から相談があった。
相談内容は「問題公表以降の治療費しか支払われない」などのほか、健康被害の詳細が解明されていないなかで、同社が被害者側に医師の診断書などで因果関係の立証を求めていることへの批判が目立ったという。(山本逸生)
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