去年1月、福岡市のJR博多駅近くで、つきまとい行為が禁止されていた元交際相手の女性を何度も刺し殺害した罪などに問われた寺内進被告の裁判。

福岡地裁は28日、寺内被告に対し懲役20年の判決を言い渡しました。

いつもとは違う白のTシャツ姿で法廷にあらわれた寺内進被告(32)。

検察から有期刑の上限である懲役30年を求刑された寺内被告に28日、福岡地裁が判決を言い渡しました。

◆裁判長
「主文、寺内被告を懲役20年の刑に処す」

寺内被告は動揺する様子なく前を向いてました。

6月17日に始まった寺内被告の裁判員裁判。

寺内被告は去年1月、JR博多駅近くの路上で、つきまとい行為が禁止されていた元交際相手の川野美樹さん(当時38)を待ち伏せした上で、包丁で何度も刺し殺害したとして起訴されていました。

<17日の初公判>
◆寺内被告
「刺したことは間違いないですが、待ち伏せしたことは違います」

初公判で寺内被告は、川野さんの殺害については認める一方、待ち伏せなどストーカー規制法違反については起訴内容を否認しました。

ストーカー行為があったのか否かが大きな争点となった今回の裁判。

事件当日、川野さんの会社近くで待ち伏せし、ついていった行為がストーカー行為にあたるとした検察の主張に対して、寺内被告はー

<18日の公判>
◆寺内被告
「博多駅に携帯電話の代金を支払いに行った。川野さんの勤務先近くに立ち止まったのは今後の生活を考えていたから」

◆弁護側
「道を通るとき川野さんを意識していた?」
◆寺内被告
「していない」

◆弁護側
「会うことを予想していた?」
◆寺内被告
「していないです」

◆弁護側
「川野さんに気付いて何か思った?」
◆寺内被告
「『なにしてんの』という感情」

◆弁護側
「声をかけて、相手はどんなリアクション?」
◆寺内被告
「『おお』みたいな感じちゃいますか」

4日間の被告人質問を通して、寺内被告が一貫して繰り返したのは「川野さんと出会ったのは偶然だった」との主張でした。

そして24日。

結審前、最後の意見を述べる機会となった最終陳述ではー

<24日の公判>
◆寺内被告
「幸せな家族の時間を奪ってしまい、申し訳ありません。全てにおいて僕が悪いと思っています」

しかし、裁判長から他に言うことがないか促されるとー

◆寺内被告
「ホンマに待ち伏せなどしておりません」

最後の最後まで、自分はストーカー行為はしていないと繰り返しました。

ストーカー規制法違反の成立が争点となる中、28日の判決で冨田敦史裁判長は、「被告が待ち伏せしていたといえるかについては疑問が残る」としながら、「被告が川野さんを追従した行為はストーカー規制法上のつきまいといにあたる」とし、寺内被告のストーカー行為を認定しました。

その上でこう断罪しました。

◆冨田敦史 裁判長
「被告人は、被害者がうつ伏せに倒れた後もなお刺すことをやめておらず、強固な殺意に基づく執拗かつ残忍な犯行といえる。被告人の犯行は短絡的かつ身勝手といわざるを得ず、厳しい非難は免れない」

こう述べ、寺内被告に懲役20年の判決を言い渡しました。

そして裁判長は、寺内被告にこう言い聞かせました

◆冨田敦史 裁判長
「寺内さんの反省の言葉は表面的なものでした。どうして罪をおかしたのかという考えが十分に至っているとは思いませんでした。生涯をかけて事件に向き合い被害者へ償いをしてください」

寺内被告は「はい」と返事し、法廷を後にしました。

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