JR博多駅前で昨年1月、元交際相手の女性(当時38)を刺殺したとして、殺人やストーカー規制法違反などの罪に問われた住所不定、無職の寺内進被告(32)の裁判員裁判の判決が28日、福岡地裁であり、冨田敦史裁判長は懲役20年(求刑懲役30年)を言い渡した。
起訴状によると、寺内被告はストーカー規制法に基づく禁止命令を福岡県警から受けていたのに、昨年1月16日、福岡市博多区の歩道で、勤務先から帰宅する元交際相手の川野美樹さんを待ち伏せ。胸や首などを包丁で多数回突き刺して失血死させたとされる。
検察側は24日の公判で、被告が川野さんの勤務先や帰宅経路を把握し、事件当日に特段何もない歩道で立っていたとして、禁止命令に反して待ち伏せするなどしたと主張。「被害者は警察に相談して可能な限りの措置をとっており、どうすることもできなかった。人通りの多い駅付近で人目を意に介さない、傍若無人で残忍極まりない犯行だ」と訴えていた。
一方、弁護側は、被告が立っていた場所が川野さんの勤務先の正面玄関から100メートル以上離れていたことなどを指摘し、待ち伏せはしていないと主張。恋愛や恨みの感情もなかったとして、ストーカー規制法違反については無罪を訴えた。凶器の包丁も護身用のもので計画性はなかったとしていた。(上月英興、山本達洋)
■事件をめぐる経緯(検察側の冒頭陳述などから)
2022年4月ごろ 被告が被害者と交際開始
10月21~23日 被告が浮気を疑い、被害者の携帯電話を取り上げたり、待ち伏せしたりする。この頃、交際関係終了
10月24日 被害者が県警に相談。県警が被告にストーカー規制法に基づく警告
11月10~21日 被告が被害者の勤務先で待ち伏せしたり、居酒屋で復縁を求めたりする
11月23日 被告が着信拒否中だった被害者の携帯電話に3回電話をかけ、LINEメッセージを5通送信した上、被害者の勤務先に電話
11月26日 被害者が県警に相談。県警が被告にストーカー規制法に基づく禁止命令
23年1月16日 被告がJR博多駅付近の歩道で被害者を待ち伏せし、バッグに入れていた包丁で刺殺
1月18日 被告が殺人容疑で逮捕される
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