急激な気温の上昇で、サクランボに高温障害などが出た問題で、今季の収穫量が例年の半分程度になる恐れが出てきた。JA山形中央会は27日、「過去に例をみない凶作水準」として吉村美栄子知事に緊急の支援要請を行った。

 JA山形中央会の折原敬一代表理事会長は県庁を訪れ、吉村知事に要請書を手渡した。

 県内のサクランボは、昨夏の高温の影響で「双子果」が多く発生したり、収穫期に30度以上の真夏日が続いた影響で実が柔らかくなる障害が出たりした。要請書では「過去に例をみない凶作水準」「天災に匹敵する」としたうえで、気象の分析を踏まえた技術指導▽被害を受けた農家への無利子資金の創設▽高温耐性品種の早期の開発――などを求めた。

 同席したサクランボの主産地のJA幹部からは、収穫の落ち込みで生産者が営農を断念してしまう懸念があるといった報告があった。吉村知事は「生産者が安心して取り組める環境を作っていかなければいけない」と述べ、対策会議を開く考えを示した。

 要請後、折原会長は報道陣に今季の収穫量について、全体像はつかめていないとしつつ「系統の組織に確認したところ、例年の半分だろうというのが大方の見方」と述べた。また、ふるさと納税の返礼品として申し込みのあったサクランボについても必要な量が確保できないといった実態があるという。(高橋昌宏)

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