2025年開催の大阪・関西万博で、参加国が自前で建てる海外パビリオン「タイプA」の建設が遅れている問題で、日本国際博覧会協会の石毛博行事務総長は27日、開幕までに整備が間に合うパビリオンの数を集計して明らかにする考えを示した。
万博ではタイプAの建設の遅れが大きな問題となっている。この日開かれた協会理事会後の記者会見で、最終的に完成するパビリオンの数を公表する考えを問われた石毛氏は、「何月何日ということはないが、遠くない状況のなかでこういう姿になると示したい」と語った。
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協会はタイプAの建設が遅れている参加国に対し、建て売り方式の「タイプX」などへの移行を呼びかけている。ただXへの移行が想定より遅れており、Xから他のタイプへの転用などで、日本側に追加負担がかかることが明らかになっている。石毛氏は負担額について、「50億円から76億円」との見通しを明らかにした上で、会場建設費(最大2350億円)のうち、物価上昇などに備えて確保していた「予備費」(130億円)からあてる可能性があるとした。
さらに石毛氏は、万博のシンボルとされる「大屋根リング」の閉幕後の利活用にも言及。リングは、全体の2万7千立方メートルのうち、これまでに引き取りのめどがたっている約6千立方メートルを解体してほぼ無償の建材として引き渡し、再利用する方針だ。石毛氏は「開幕して、(リングの建材としての)ブランド価値が上がる可能性はある」と説明。再利用される建材の量がさらに上積みされるとともに、有償の引き取り手がでてくることに期待感を示した。
一方、石毛氏は、会場へのペットの同伴可否とルールについて、この日の理事会で協議されたものの、次回以降の理事会に持ち越しになったことも明らかにした。一部の理事から「(同伴が)ペットのためになるのか」との意見があり、まとまらなかったという。(菅原普、諏訪和仁)
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