松江市の塗装会社「長岡塗装店」が、赤外線カメラを搭載したドローンでマンションやビルなどの外壁を撮影し、人工知能(AI)で熱画像を解析して劣化を調査する事業に取り組んでいる。足場を設置して外壁をハンマーでたたく打診調査に比べ、調査にかかる費用の削減や日数の短縮が見込めるとしている。(共同通信=鈴木人生)
同社の試算によると、4階建ての県営住宅では足場を設置する調査に比べ、費用は約10分の1に。調査日数も従来の約1カ月から1週間程度に短縮される見込みという。
同社は人手不足を補うため調査にドローンとAIを活用する方法を導入。2023年春に公共建築物を対象に開始し、2024年4月からマンション管理組合やビルオーナーの管理する民間建築物も取り扱っている。
外壁の劣化調査は従来、仮設の足場や高所作業車などを使い、打診で実施。建築基準法に基づく法定点検の場合、高層の建物では足場の設置費用が高くなり時間もかかっていた。
ドローンは同社の調査員らが手元のコントローラーで操縦。外壁の劣化部分と健全な部分には温度差があり、機体に搭載された赤外線カメラで撮影し、熱画像データをAIで解析する。AIは1級建築士の知見と過去のデータを学習しており、調査員の熟練度に左右されずに劣化の診断ができる。
同社取締役の長岡望(ながおか・のぞむ)さん(48)は「ドローンの操縦さえできれば、打診の経験が浅い調査員でも正確な診断ができる。今後は既存の建物を長く利用していく時代になるので需要に応えたい」と話した。
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