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今年の12月2日に健康保険証が廃止されて、原則『マイナ保険証』に一本化されますが、利用率は伸び悩んでいます。

医療機関では『マイナ保険証』の利用を呼びかけていて、持っていないと、診療が後回しになると言われた患者もいました。

■薬局では従来の保険証“つき返し”も

『マイナ保険証』をめぐり、薬局でトラブルが起きています。

Aさんです。
『マイナ保険証』を持っていませんでした。 5月、持病のぜん息の症状がひどくなり、薬局へ行きました。
処方箋は受け取ってもらえましたが、保険証は受け取ってもらえませんでした。

窓口で、
「普通の保険証の受け付けはできなくなりました。
マイナ保険証のみの受け付けになります。マイナンバーカードはお持ちですか」
と言われたということです。 Aさんはぜん息の苦しさに耐えられず、仕方なく、保険証をマイナンバーカードにひもづけしました。
そして、その後、薬局のホームページから抗議しました。 Aさんは、
「マイナ保険証を強制的に使わせられた。ひもづけさせられたことに、ちょっと怒りを覚えている」と話しています。 Aさんの抗議に対して、後日、薬局からの謝罪文が届きました。 薬局からの謝罪文(一部省略)
『この度は、スタッフの対応で〇〇様にご不快な思いをおかけしましたこと、誠に申し訳ございませんでした。
弊社薬局をご利用時には、マイナ保険証がなくても受付が可能でございます。マイナ保険証のご利用について、誤解を招く説明があり、私の指導不足を痛感しております。
この度の件を受けて、〇〇店のスタッフには厳しく指導いたしました。 誠に申し訳ございませんでした』 通常、薬局では、薬を処方する際、健康保険に加入しているか、保険資格の確認を行います。
しかし、Aさんが行った薬局では、国が『マイナ保険証』の活用を推進中で、いずれ従来の保険証はなくなるため、2023年12月以降、全ての系列店で、薬を処方する際に、従来の保険証での資格確認を取りやめていました。 「この度の事案では、お客様に誤解を与えてしまった。今後は、従来通りの保険証を提示された場合には、お戻しすることなく、きちんと受け取って、資格確認させていただく」としています。 この番組のスタッフも、別の薬局で『マイナ保険証』の提示を求められました。

提示を促すポスターには、大きな文字で『マイナ保険証』と書いてある一方、小さな文字で『又は、健康保険証』と書かれていました。

従来の保険証を出すと、 「次から、マイナンバーカードを持ってきてください」と言われたということです。

次のページは ■未所持で“診察後回し” 法的に問題ない?

■未所持で“診察後回し” 法的に問題ない?

クリニックでのケースです。

Bさんはマイナンバーカードを持っていません。
持病のために通っていたクリニックで、突然、医師から、マイナ保険証の“優先診察”を伝えられました。
「『次回からマイナ保険証じゃないと後回しになります』と言われた」ということです。

「自分が一番最初に来ても、マイナカードを持っている人がどんどん来たら、だんだん後になる。ちょっとした嫌がらせをして、(マイナ保険証を)作らせようとしているように感じた」といいます。 『マイナ保険証』を持っている患者を優先診察する理由について、 別のクリニックの担当者は、
「受付での本人確認が簡単なマイナ保険証の患者を優先すれば、待合室の混雑が解消される」としています。 そもそも、マイナンバーカードの取得は任意です。 中央大学の宮下紘教授によると、
「マイナ保険証は、任意のものに対して、国民全員が入っている保険制度をくっつけているため、矛盾が生まれる。それを使わないと診療ができないことがおかしいし、どうしてもトラブルが起きてしまう」ということです。 保険証の種類で対応に変化があるというのは、法的な問題はないのでしょうか。 薬剤師法第21条では、
『正当な理由なく調剤の求めを拒んではならない』

医師法第19条では、
『正当な理由なく診察治療の求めを拒んではならない』
とあります。 宮下教授です。
「『マイナ未所持』を理由に、調剤や診察を完全に拒否すれば違反になる。完全拒否でなくても、保険証の種類によって、患者が受けられる医療行為に差が生じるのは、患者に寄り添った方針ではない」 「診療そのものを拒否したり、マイナ保険証を強制したら問題だが、順番の前後やマイナ保険証を求めることが、何か違反とはならない。不公平感はあるかもしれないが、事務の効率化、待合室の混雑解消などの観点から合理的に説明できるなら、否定されるものではないのでは」としています。 次のページは ■利用率は6% 普及策に一時金支給も

■利用率は6% 普及策に一時金支給も

『マイナ保険証』の利用を促進するため、国が行っている普及策です。

マイナンバーカードの交付枚数は、4月時点で約9910万枚ですが、マイナ保険証の利用率は4月時点で、約6.6%です。

「利用率は、今年に入って増加傾向にあるが、さらなる底上げが必要だ」 武見厚生労働大臣です。
「5月、6月、7月と、3カ月間『マイナ保険証 利用促進 集中取組月間』。総力を挙げて、取り組んでいく。医療現場においては、窓口での呼びかけが重要だ」 厚労省が作成したチェックリストがあります。
厚労省が病院や薬局に示している、チェックリストの一部です。 窓口での声掛け、
「マイナンバーカードをお持ちですか」

●受け付けの際「健康保険証をお持ちですか」にかえ、まず「マイナ保険証」の利用をお声かけください。

●持参されていない方に、
「ぜひ次回はマイナンバーカードをお持ちください」とお伝えください。

と、『マイナ保険証』利用への声かけ徹底を呼びかけています。

そして、マイナ保険証の利用者を増やした医療機関には、一時金が支払われます。病院が最大で20万円、クリニックや薬局は最大10万円です。 さらに、河野デジタル大臣が、自民党所属国会議員に対し、マイナ保険証の利用ができない医療機関を国のマイナンバー総合窓口に連絡するよう、支援者に呼びかけることを要請する文書を出していたことがわかりました。 この文書に対する反発です。 全国保険医団体連合会は、
「『利用率低迷』の理由を、保険証提示を求める医療機関にあるとし、『通報』を呼びかけているとしたら、八つ当たりもいいところです」としています。 利用促進の取り組みについて、 厚労省の担当者は、
「やはり、ひもづけの誤りの件などで、データに対する不安というのが根強くあり、マイナ保険証のメリットが十分に伝わっていないと感じている。これからの医療を維持していき、質の向上をはかっていくためには欠かせないものなので、一人でも多くの人に利用していただくため、いま一生懸命PRしている」としています。 (「羽鳥慎一モーニングショー」2024年6月13日放送分より) この記事の写真を見る(19枚)
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