東京都知事選挙が20日に告示され、過去最多の56人が立候補しました。選挙ポスターを貼る掲示板の枠が足りないため、一部の候補者にはクリアファイルが配られるなど、異例の対応がとられました。
■ポスター掲示「クリアファイル」で…
20日、告示を迎えた東京都知事選挙。多くの候補者や事務所スタッフが都庁に集まり、くじの番号順に立候補の届出が行われました。朝の受付開始時点で前回の22人を超え、過去最多の候補者数となった今回の都知事選。そのため、事前に設置された掲示板の枠数48に対し、56名もの届出が行われたため、掲示板のスペースが不足する事態になりました。
この問題を解消するため、東京都の選挙管理委員会が打ち出したのは、49人目以降の候補者にはポスターを貼るためのクリアファイルや画びょうなどを支給し、候補者が自ら貼るよう要請する前代未聞のものでした。 選挙管理委員会 担当者「この上にポスターを貼って、掲示板の所に画びょうで固定したり、ビニールテープで貼り付けたりする形で候補者にお願いします」
この対応について候補者は、こう話します。
49番目以降に届け出た候補者「時間かかるでしょうし、(貼るのに)手間がかかる。だから平等ではないと思います」
実際に、貼りに行く候補者もいました。
少しでも見栄えを良くしようと、候補者は試行錯誤を繰り返します。
候補者「こっちのほうが絶対いいじゃん、ほら」
「(Q.ただ、これだと雨が)全然大丈夫。これ雨強いから、名前もスッキリ見えるし。ああ、良いじゃん。これ1枚のほうが良いよ」
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■最高気温は29.8℃…厳しい暑さのなか「ポスター貼り」■最高気温は29.8℃…厳しい暑さのなか「ポスター貼り」
今回の選挙で注目を集める“ポスター掲示板”。番組では3つの掲示板に完全密着、大混乱の1日を取材しました。20日午前9時前、東京・練馬区の住宅街に一番乗りで現れたのは、ボランティアの男女です。
区内18カ所を回る一番乗りのボランティア
「我々は38と39(の区域)を担当するんですよ。1から9までと、1から9までなので18カ所ですね」
掲示板の場所が書かれた地図を頼りに、午前中には作業を終える予定ですが…。
区内18カ所を回る一番乗りのボランティア
「まだ、決まらないんですね。じゃあ、お待ちしています」
「(Q.決まらない?)はい」
「(Q.何時ぐらいに決まる?)前はすぐ決まったんですけどね」 ポスターを貼る場所は、くじ引きによって決まりますが、今回は候補者が多いせいか、なかなか決まりません。しばらく待つと…。 区内18カ所を回る
一番乗りのボランティア
「あ!」
「(Q.(連絡)来ました?)5番です」
さっそく作業に取り掛かります。しかし、まっすぐに貼ることができません。
区内18カ所を回る一番乗りのボランティア
「ちょっと、ちょっと、ちょっと…」
「(Q.なかなかまっすぐ…)ちょっと、ズレちゃったかな」
2人がかりで作業します。
区内18カ所を回る一番乗りのボランティア
「伸ばせば…OKです。これで大丈夫です」
正午すぎには、別の陣営の女性の姿がありました。ボランティアで、区内17カ所を回るといいます。
区内17カ所を回るボランティア
「(Q.きょう、ここで何カ所目?)10カ所目くらいです」
「(Q.自転車で?)ずっと自転車で。そんなに広いエリアじゃないので、私の持ち分は。でも、きょう暑いので大変ですよね」
「(Q.もう1本飲み…)もう1本すぐ飲み切っちゃいました」
「(Q.暑いですもんね)暑いです」
20日の最高気温は29.8℃。真夏日一歩手前の厳しい暑さです。
区内17カ所を回るボランティア
「キャップと、この日焼けしないようにと、あとスポーツドリンク」
熱中症対策は万全。暑さに負けず、ポスターを貼ろうとしますが…。
区内17カ所を回るボランティア
「(Q.届きますか?)届きます」
「(Q.確かに一番上って結構高いですね)そうなんですよね。私まだギリ届きますけど。多分、ほとんどの女性の方は難しいかもしれない。顔だけには気泡入れたくない」
貼る場所が一番上にあるため苦戦。時間がかかりながらも、なんとか貼り終えます。
区内17カ所を回るボランティア
「1分1秒でも早く人の目に入れてもらえるように、急がなきゃって感じですね」
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■銀座では…“貼り間違え”も■銀座では…“貼り間違え”も
一方、20日午前10時半の東京・銀座のポスター掲示板では、最初のポスターが貼られました。こちらのボランティアは、中央区内26カ所を担当していて、この場所が1カ所目だといいます。
ポスターを貼りに来たボランティアの女性
「ラッキーセブン、7番なんですよ。ラッキーセブンなんで、投票日が7月7日。7番ということで、やっぱり私が推す候補者は、持っているなと思いました」
うまく貼るための秘策もあるそうです。
ポスターを貼りに来たボランティアの女性
「これ(定規)を使って空気が入らないように、ヒューと押して押さえながら、内装屋さんみたいな感じでやってみました」
「(Q.出来栄えはどうですか?)素晴らしいです」
幸先よいスタート。この調子で、すぐ隣の掲示板にも移動しますが…。
ポスターを貼りに来たボランティアの女性
「あぁ…」
「妥協ですね…ここ…」
「(Q.どうですか、貼ってみて?)2回目はうまくいかなかったですね。ちょっと気泡が入ってしまいました」
なかなか上手くいきません。
ポスターを貼りに来たボランティアの女性
「早く終わりたい、終わればいいけど。1日楽しみたいと思っています」
しかし、このポスターには問題がありました。
先ほどのボランティアの人が1枚目のポスターを貼ったのは7番でしたが、同じポスターが6番に貼られています。間違えて、横の枠にポスターを貼っていたのです。急きょ、ボランティアチームの責任者が駆け付け、対応することになりました。
ボランティアチームの責任者「(間違って貼っても)ルールで、勝手に剥がしたりしてやってはいけなくて。選挙管理委員会に報告を我々は全員ボランティアなので。事務局を通して連絡をしてもらって」
しかし…。
ボランティアチームの責任者「(Q.どんな感じか?)とりあえず、選管の指示を待つ。電話してもつながらないそうです」
連絡が来るまで待ち続けること、およそ2時間。
ボランティアチームの責任者「じゃあ、いきますか」 間違って貼ってしまった枠の陣営が来たため、お互い立ち会う中でポスターを剥がし、貼り直すことになりました。 ボランティアチームの責任者
「あー良かった」
6番のポスターを無事貼り終え、一件落着。
ボランティアチームの責任者「(Q.ここが一番最初だった?)一番最初です」
「(Q.結果的には、中央区で一番最後?)最後です。最初に貼って、最後になりました」
ハプニング続出のポスター貼り。一方で手際よくポスターを貼り終える人もいました。
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■異様光景…“掲示板ジャック”■異様光景…“掲示板ジャック”
591カ所に掲示板がある八王子市。掲示板の前を通るのは、車のみです。人通りはまったくありません。20日午後3時半ごろ、ようやく人影が見えました。ボランティアでポスター貼りに参加したという女性。遅くなってしまったのには、ワケがあるといいます。
ポスターを貼りに来たボランティアの女性
「今回(立候補者の)人数が多かったということで。自分たちが何番なのかというのを知らされるのもすごく遅くて、こんな時間になってしまった」
しかし、その後も訪れる人はほとんどおらず、午後5時になりました。掲示板に貼られたのはわずか4枚。番組が取材した練馬では3枚、銀座では9枚という結果になりました。
一方、都内の別の掲示板では、異変が起こっていました。 女性「(ポスターを貼る枠が)25から48までなんですけど、とりあえず30までの5枚貼っていきたいと思います」
ポスターに写るのは、女性本人の写真。次々とポスターを貼っていきます。なぜ、複数の枠に貼れるのでしょうか。
掲示板の枠を“購入”した女性「自分の枠を購入というか、そんな感じで。あの子自体も立候補じゃないですし、私も立候補じゃないです」
掲示板にポスターを貼る権利を“買った”と話す女性。
新宿区内にある選挙ポスターの掲示板ですが、女性の同じポスターが枠のように貼られています。
その数、24枚。異様な光景に街の人はこう話します。 掲示板の前を通りがかった男性「選挙変わりましたね。こんなん許されないですよ。宣伝ですよ」
別の場所では、立候補者の写真ではなく犬のポスターがずらっと並んでいて、掲示板がジャックされています。
ポスターに映るのは、人ではなく犬。初日の大混乱が垣間見えた“ポスター掲示板”。さらには、警視庁が警告を出す事態もありました。
捜査関係者によると、立候補した諸派の男性候補がわいせつなポスターを複数カ所に貼りだしたことを確認。警視庁は、これらのポスターが迷惑防止条例違反にあたると判断し20日、男性候補を呼んで警告を出したといいます。次のページは
■立候補した候補者は「56名」投開票は来月7日■立候補した候補者は「56名」投開票は来月7日
“波乱”のスタートとなった東京都知事選挙。注目候補の「第一声」は…。
東京都知事小池百合子候補(71)
「この東京が世界で一番の都市になるうように、また一番の部分をさらに磨いていくように、ご協力・ご支援よろしくお願い申し上げまして、出発のごあいさつとさせていただきます」 前参議院議員
蓮舫候補(56)
「現職に戦いを挑みます。チャレンジャーです。みなさんの東京のトップになりたいと改めていま、強く思っております」
市ケ谷では…。
前安芸高田市市長石丸伸二候補(41)
「みんなで、今、時代が動かせるチャンスが来ています。まずは私たちが動いていきましょう」
さらに築地では…。
元航空幕僚長田母神俊雄候補(75)
「私は日本を本当に立て直したい。日本人としての自信と誇りを持てる教育、これを実施しないといけない」 20日、立候補した候補者は56名。17日間にわたる選挙戦の投開票は、来月7日に行われます。
(「羽鳥慎一 モーニングショー」2024年6月21日放送分より)
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