主に高齢者が利用するシニアカー。本来は歩道を走らないといけないですが、車道を走る利用者が相次いでいます。また、踏切内で列車との接触事故も起きています。
■車道の真ん中を堂々と走行
車道の真ん中を、ゆっくりと進むシニアカー。先月末、栃木県鹿沼市の国道を走る車の後部座席から撮影された映像です。雨の中、傘を差しながら杖や多くの荷物を載せて運転。後ろの車には気づいていません。
撮影者「『栃木県に餃子食べに行こう』ってなって。(シニアカーを)見た瞬間『ん?』ってなって。(シニアカーは)車道を走ったらいけないと僕たち思っているので、『えっ、これ大丈夫なの?』っていう会話もありましたね。車道の端っこでもなくて真ん中を走り出したので、しかも堂々と。事故が起こっちゃうんじゃないかという心配もありました」
「(Q.その状況がどれくらい続いた?)2〜3分続いて」
シニアカーの最高速度は時速6キロ、大人が早歩きする程度のスピードです。
道路交通法で、歩行者とみなされるシニアカー、車道を走ることは違法行為となります。
鹿沼市の現場を見てみると、非常に交通量が多い道路となっています。歩道は、シニアカー1台分は通れるほどの幅でした。 撮影者によると、「鹿沼駅方面」から「交差点」へと進入してきたシニアカーが右折し、車道の真ん中を走行。この場所は、市役所からほど近い場所にあり、多くの車が行き交っています。 過去に車道を走るシニアカーを目撃した住民「見たことはありますよ、何回かは見ましたよ。(車道の)中央に近い所を走っているような感じだった」
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■車道を走行していた本人の言い分■車道を走行していた本人の言い分
周辺で取材を続けていると、歩道のある大通りを横切り、そのまま車道をゆっくりと進むシニアカーが…。別の道路でも、シニアカーが通行できる歩道があるにもかかわらず、車道を通っています。後続車は、シニアカーを避けるように、おそるおそる追い越していきます。車道から歩道へと誘導し、話を聞くと…。
シニアカーで車道を走行していた男性(80代)「(Q.動画で国道を通られていた?)ええ、そうです」
「(Q.あれはお父さんで間違いない?)そうだ、間違いない」
撮影された動画は自分だと認める、80代の男性。およそ7年間、毎日シニアカーに乗っているといいます。
シニアカーで車道を走行していた男性「(Q.ずっと車道を走っていた?)ええ」
「(Q.(違反だと)分からないで走っていた?)いやそんなことはないですよ、法律は知っていました」
「(Q.歩道を走らないといけないことは知っていた?)そうです」
「(Q.なんで車道を走っていた?)間隔を見て、車が通ってないところを通る」
男性は、狭い歩道より広い車道の方が通りやすいため、“安全を確かめた上で広い車道を走っていた”といいます。
シニアカーで車道を走行していた男性「(Q.車道を走っていて危ないと思ったことは?)しょっちゅうあります」
「交通はきちんと守らなくちゃいけないんだよ。分かっているんだけど、誰も居ないところは通っちゃうんだよね」
「(Q.いきなり曲がってくる車もいるので、歩道を走っていただけると…)直しますよ、直します」
その後、男性が乗るシニアカーは歩道を走行して去っていきました。
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■特急列車と衝突 イスが空中に■特急列車と衝突 イスが空中に
シニアカーを巡っては、間一髪の事態も起きました。
特急列車が、警笛を鳴らして停止しようとしますが、列車が踏切を通過した時、黒いものが空中に舞い上がっているのが分かります。
先月15日、奈良県内の踏切手前で撮影されたドライブレコーダーの映像には、シニアカーが特急列車と衝突、シニアカーのイスが空中に跳ね飛ばされる瞬間が捉えられていました。駅員が慌てて駆け寄ります。すると、シニアカーを運転していた女性の姿が…。
よく見ると、列車が踏切に来る直前、前の車の運転席から降りて、踏切に向かって走る人がいます。踏切内の異変に気付き、90代女性を抱えて線路の外に助け出したのです。 救助された女性(90代)「踏切内で動かなくなったシニアカーを外に押し出そうとしていた」
運転席を飛び出してから、シニアカーのイスが空中に舞うまで、わずか“9秒の救出劇”。救助した女性が、当時の状況を語りました。
救助した、金城恵さん「私が車で止まっていて、(シニアカーの女性が)こっちの歩道側の線路で立ち往生してはったので。遮断機も閉まっていたので、そのまま必死で抱えて引っ張りだした感じです」
「(Q.線路でおばあさんはどういう状態でいた?)シニアカーから降りて、横に立って押して出そうとしていた」
「不具合で止まったのか、バッテリーなく止まったのか、溝に落ちたのかは分からないです」 救助した金城さんは当時、娘を迎えに行く途中で、たまたまこの踏切でシニアカーの女性と遭遇したといいます。 金城さん
「振り返ると怖いですね。遮断機の中で立ち往生してはったので、とりあえず助けないとって。気付いたら結構近くまで特急が来ていたので、もう無我夢中でした」
「(Q.おばあさんは何と言っていた?)『ありがとうございました。命の恩人です」って…」 警察は「踏切で立ち往生したら、すぐに非常ボタンを押してほしい」と、注意を呼び掛けています。
■踏切事故の再現 注意呼びかけ
シニアカーによる踏切事故の再現映像です。
歩行者は“歩きスマホ”で前を見ておらず、シニアカーが歩行者を避けるためにハンドルを切ると、線路の溝にタイヤがはまってしまいます。アクセルレバーを操作しても、抜け出すのは一苦労です。 また、踏切の端を渡っていると「脱輪」。端に寄りすぎて走行しないよう、注意を呼び掛けています。次のページは
■接触すれすれ…トラックと歩道の狭い隙間を■接触すれすれ…トラックと歩道の狭い隙間を
事故につながりかねない、危険な場面も。
神奈川県三浦市の国道。歩道はありますが、シニアカーは車道を走っています。すると、車と接触しそうになる場面も…車は急いでスピードを落として回避します。 本来シニアカー1台分は、ゆうに通れるほどの幅がある歩道ですが、工事で歩道が狭くなり走行しづらかったのでしょうか。 新潟県内の国道でも…。目の前を走る大型トラックがスピードを落とし、右側にゆっくりと車体を寄せ始めると、こちら側に向かってくるシニアカー。広い歩道があるにもかかわらず、シニアカーは大型トラックと歩道の狭い隙間をすり抜けます。 運転していた男性「もう怖かったですよ。歩道がなければ仕方がないんですけど、歩道があるんですから」
シニアカーの普及に伴い、危険な運転も相次ぐなか求められる安全策とは?
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■出荷台数 コロナ禍に減るも、再び増加■出荷台数 コロナ禍に減るも、再び増加
高齢者が利用するシニアカーは、運転免許なしで運転することが可能です。最高速度は6キロ以下で、大人が早歩きするくらいのスピードです。
道路交通法上は歩行者扱いとなるため歩道を走ることが基本、原則となっています。
そして重量は100キロ程度なので、倒れてしまうと起こすのも難しい重さです。
新車ですと価格30万円から40万円程度。またはレンタルも可能で、介護保険を適用しますと月2000円から6000円程度ということです。
そのシニアカーの出荷台数です。2019年度というのが、池袋の暴走事故の影響で免許を返納する人が増えたこともあり、シニアカーの出荷台数は大幅に増えて1万7145台となりました。ただ、そこから新型コロナの拡大や半導体不足もあり出荷台数が減っていきました。
2022年から新型コロナが少しずつ解消していったことや半導体不足も戻ってきたということで再び右肩上がり、1万5543台となっています。
■死亡事故も…気を付ける点は?
続いて、2013年から2023年のシニアカーの事故件数を見ていきます。
事故の総数は42件。そのうち25件が死亡事故となっています。ですから、事故の半数以上が死亡事故につながっています。もう1つ見ていきたいのが、42件の事故の総数のうち、踏切内での事故が14件。死亡事故25件のうち9件が踏切内で起きてしまったものです。
では、こうした踏切での事故を防ぐためにどうすればいいのでしょうか。
NITE(製品評価技術基盤機構)の岡田大樹さんによりますと、「急にハンドルを切ると線路の溝にタイヤが挟まってしまう。歩行者や車はシニアカーが踏切を渡ろうとしていたら道を譲るなどの配慮をしてほしい」ということです。(「羽鳥慎一 モーニングショー」2024年6月19日放送分より)
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