富山の音楽家夫妻が、学校に行きづらい子どもたちへの新たな支援の方法としてDJを取り入れ活動している。さまざまな音楽を流し、体を動かし楽しんでもらうのが狙いだ。専門家も夫妻の活動を評価し、行政も関心を示している。(共同通信=堤悠平)
富山県入善町出身のタテヅカ2000さん(51)と、妻で富山市出身のタテヅカナギサさん(35)。新型コロナウイルス禍をきっかけに、東京と富山市での2拠点生活を始めた。
富山での活動のポリシーは「生活に身近な音楽を」。パソコンとターンテーブル、スピーカーを携えどこへでも2人で赴く。これまで県内の屋外イベントなどでDJを重ねてきた。
活動の一環で始めたのが、支援施設や専門学校でのDJ教室だ。「自分もかつて学校になじみにくかった。子どもたちに『こういう道もある』と示したい」と2000さんは話す。
2月には富山市内の施設でDJを行った。流行の曲や両親世代に刺さる曲など、さまざまなジャンルを織り交ぜた。慣れないDJに戸惑っていた子どもたちも、1時間ほどすると、体を動かし踊り始めたり、機材に興味を持ったりし始めたという。「音楽に合わせて筋トレをしたり踊ったり。子どもたちが自由に楽しむ姿に感動した」とナギサさんは振り返る。
施設を管理する富山市教育センターの荒瀬誠所長は「子どもたちが生き生きしている様子に感銘を受けた」と話す。今後は市内の小中学校での出張DJ教室を検討しているという。
富山大の林誠一教授(教育学)も「DJは自分の感情を人との関わりの中で表現できる。子どもたちにいい影響があるだろう」と評価。同様の活動は「全国でも例がないのでは」と話す。
「元気がない人、悩む人。そういう人に伴走したい」。夫妻は口をそろえる。今後は障害のある人々へのワークショップや老人ホームでのレクリエーションなどにも活動の幅を広げる予定だ。
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