建設中の広島電鉄の新線「駅前大橋ルート」で16日夜から翌17日にかけて、JR広島駅前交差点から新駅ビル2階正面の橋脚に、巨大な橋桁をかける工事があった。駅ビルに路面電車が直結する、広島の玄関口の「新しい顔」の輪郭が見えてきた。
「駅前大橋ルート」は、広島駅と比治山町交差点を結ぶ広島電鉄の新線だ。事業主体は広島市と広島電鉄。約1.1キロの区間のうち、駅前大橋から駅までの約0.3キロが高架で、路面電車が新駅ビルの2階に直接乗り入れるようになる。
開業は2025年春の予定だ。事業が完成すれば、駅から市中心部への所要時間が現在の約15分から約4分短縮される。駅ビルに直結することから、広電からJRへの乗り換えも約1分短縮されるという。
市は新線と共に、駅前広場の再整備なども進めており、総事業費は約360億円にのぼる。
16日午後11時15分に始まった工事では、広島駅前交差点の上空から駅の手前にかけて、長さ約43メートル、重さ約250トンの橋をかける作業が行われた。約90人の作業員や誘導員が見守る中、台車に載せられた橋桁は約50分間かけて橋脚に設置された。
現場を眺めることのできる歩道には、工事の山場を見届けようと150人近い市民も詰めかけた。折りたたみ式の椅子を持ち込んで、座りこむ人もいた。
午後10時から最前列に陣取り、スマホで撮影していたのは安佐南区の会社員の宮田泰成さん(26)だ。「駅前が変わる貴重な瞬間を見たいと思って来ました。明日は午前10時から出勤ですが、1時ごろまでここで見守ります」と話した。(魚住あかり)
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