原子炉内を冷却するための注水ポンプ。電源を失った場合でも、蒸気で動き、高圧の原子炉内に水を送り込む=東北電力女川原発(代表撮影)
2013年に始まった事故対策工事は、7回の完了延期を重ねて今年5月に終わった。費用は約5700億円。重大事故に備え、防潮堤や原子炉の冷却に使うポンプなどを整備。東北電力は7月ごろに原子炉への核燃料装塡(そうてん)を計画する。 この日公開されたのは、事故時に放射性物質の外部放出量を抑える装置や、新設の防潮堤(延長約800メートル、高さ海抜29メートル)など。阿部正信所長は「13年ぶりとなる運転に全力を尽くしたい」と話した。10年かけて完成した防潮堤。高さは海抜29メートル、延長は約800メートル=東北電力女川原発(渡辺聖子撮影)
◆避難計画の実効性に課題
2011年3月の震災時は全3基が稼働中。震度6弱を観測し約13メートルの津波が押し寄せた。3基は冷温停止したが、外部電源が5回線中1回線のみとなり、2号機では建屋内に海水が逆流して非常用発電機2台が使えなくなるなどの被害が出た。9月ごろの再稼働を予定する東北電力女川原発(渡辺聖子撮影)
2020年2月に新規制基準に適合し、宮城県は同11月に再稼働への同意を表明した。一方で、事故時に半島先端部に住む人の孤立化が懸念され、避難計画の実効性には課題が残っている。 公開前日の12日には、2号機で点検中の空調が停止後、事故時に放射性物質を除去するための設備が起動するトラブルが発生。原因は分かっていない。 鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。