昨年9月に自転車ロードレース「ツール・ド・北海道」で起きた死亡事故をめぐり、有識者でつくる第三者委員会「安全対策検討会」が、今後は2車線全幅の利用を基本とするよう提言する方針を固めたことが分かった。12日の第5回会合で明らかになった。

 事故当時、自転車の走行車線は原則片側1車線のみとされていた。死亡した選手は下り坂のカーブで対向車線へはみ出し、対向車と衝突したとみられる。

 検討会は事故を受けて設けられた。これまで、対向車に注意を呼びかける「先導車両」が死亡した選手の集団の前にいなかったことや、警備態勢に不十分な点があったことも明らかになった。

 12日の会合では、レース区間をブロックに分け、段階的に2車線全面通行止めにする方式「ローリング・クロージャー」が昨年のコースで行えるか、シミュレーションした結果が共有された。

 終了後、取材に応じた武藤俊雄座長(北大公共政策大学院准教授)は「地形などから採用しづらい区間があった」と説明。コース設計など「地域社会に理解を得る必要がある」と語った。

 同方式で行われた別レースの情報などを収集し、年内に報告書をまとめる方針という。(新谷千布美)

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