昨年7月から3回、電子マネーカードをだまして買わせる詐欺を未然に防いだとして、熊本東署は7日、ローソン熊本健軍三丁目店の店員、上野睦子さん(56)に感謝状を贈った。

 被害を阻止したのは昨年7月と今年4月、5月。来店した70~80代の男性3人は、5万~10万円の電子マネーカードを購入しようとした。いずれも、パソコン画面に「ウイルスに感染しました」と表示され、駆除の代金としてカードをコンビニで買うよう指示されていたという。

 電子マネーカードは若い人が買うことが多いが、せいぜい3千円程度。高齢者でしかも数万円を買うのはおかしいと、上野さんは「自分でお使いになるのですか?」と声をかけた。

 話してみると、相手に言われるままに「アップルのカード5万円」と書いたメモを持参していたり、妻から「詐欺じゃないか」と言われたりしていたことが分かった。パソコンが壊れるかもしれないと慌てていて、「急いでいるから」と取り合おうとしない客もいた。

 そこで役だったのが、熊本県警がコンビニに配布した、カードを入れる小袋だった。「有料サイトの利用料金が未納!」「パソコンがウイルスに感染! サポート料がかかります」などと犯人の殺し文句が例示されている。これを見せると、興奮状態だった客も「だまされたかもしれない」と次第に冷静になっていった。

 署によると、詐欺の手口は巧妙化していて、要求額が数千円にとどまる例も増えているという。上野さんは「そもそもコンビニで何千円も買い物をする人はほとんどいない。カードの額面が小さくても、勇気を出して声をかけていきます」と話していた。

 熊本東署は同店と、ローソン熊本水前寺公園前店、セブンイレブン熊本競輪場通り店の計3店にも感謝状を贈った。今年4月21日~5月18日、高額のカードを買おうとした客4人に声をかけて購入を思いとどまらせ、合計で27万5千円の被害を防いだという。(森北喜久馬)

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