山口県阿武町が誤入金した4630万円の大半を決済代行会社の口座に振り替えたとして電子計算機使用詐欺罪に問われた会社員、田口翔被告(26)=山口市=の控訴審判決が11日、広島高裁であった。森浩史裁判長は、懲役3年執行猶予5年とした一審・山口地裁の有罪判決を支持し、被告側の控訴を棄却した。
一審判決は、田口被告が2022年4月8~18日、自分の銀行口座に町から振り込まれた4630万円について誤入金と認識しながら、オンラインカジノのサイトにアクセスしてほぼ全額を決済代行業者に出金したと認定した。
田口被告は、誤入金の事実を銀行に知らせず、信義則上の義務を果たさなかったと指摘。正当な権利がない中での出金は、虚偽の情報を与える行為に該当すると結論付けた。
今年3月8日にあった控訴審の公判で弁護側は、銀行は誤入金について阿武町から知らされており、被告に告知義務はなかったとして改めて無罪を主張していた。
誤入金は、町がコロナ禍で影響を受けた住民税非課税世帯などを対象に1世帯10万円の給付金を振り込む際のミスで起きた。町は決済代行業者からの返還を受け、ほぼ全額を独自に回収している。(向井光真)
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