愛媛県有数のミカンの生産地として知られる八幡浜市を拠点に活動する若者らが、栽培過程で間引く「摘果ミカン」を有効活用しようと、ハンドクリームを開発した。商品化に向けて動き始めてから約3年を経て、4月に初の対面販売を実施。開発に携わった同県西予市の介護福祉士鈴屋拓人(すずや・たくと)さん(20)は「ミカンのさわやかな香りとべたつかない肌なじみの良さが魅力」とアピールする。(共同通信=熊木ひと美)
きっかけは2021年に八幡浜市内で開かれたビジネスコンペティション。当時高校2年生で参加した鈴屋さんは摘果ミカンを使ったスキンケア用品を提案し、高校生部門で最優秀賞を受賞した。
地元の名産のミカンを使えないかと考えていたところ、高校の教諭から摘果ミカンを薦められた。小さくて固く加工が難しいため、ほとんどがそのまま捨てられてしまうと知り「農家さんの新たな収入源にもなれば」と活用を思いついた。
「大切な人の手を守りたくてハンドクリームを作ろうと決めた」と鈴屋さん。視覚障害のある母と幼い頃からずっと手をつないできた。母の手の状態でその日の体調が分かるほど、鈴屋さんにとって手は重要な存在だった。
商品開発を実現したいと高校卒業後、市内のシェアオフィスで出会った仲間6人と「オレンジまるごとプロジェクト」を設立。別の企業と提携し、市内の農家から摘果ミカンを仕入れ、抽出した精油などをハンドクリームに配合した。
商品名は「ナチュラルハンドクリームMUKU(ムク)」。天然由来成分で作った「無垢(むく)」なイメージと、ミカン栽培の犠牲が「報われる」という思いを込めて名付けた。1本50グラムで3300円。同プロジェクトのオンラインショップや市内の道の駅で購入できる。
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