旧国鉄からローカル鉄道まで、古くなり解体予定だった車両などを紹介する屋外展示施設「ポッポの丘」が千葉県いすみ市にある。代表の村石愛二さん(70)らは「見て、触って、懐かしんでもらえたらいい」と、今後も車両の受け入れに力を注ぐつもりだ。(共同通信=西沢俊佑)
青森県八戸市で個人所有者の倉庫として使われていた、旧国鉄の食堂車「サシ581―31」が3月下旬、同施設へ運ばれてきた。1972年製で全長約20メートル。寝台特急などとして走り、国鉄が分割民営化される前年の1986年に引退した。クリーム色と濃い青色の外装。こんろや電気オーブン、テーブルなどが、当時のまま車内に残されている。
八戸市の土地区画整理事業の兼ね合いで倉庫として置いておくのが難しくなり、傷みも進んだことから、所有者は処分を検討。ポッポの丘のサポーター梅原健一さん(53)らが関係者らと話し合い、無償で引き取ることになった。
運搬・修繕費は、梅原さんと鉄道ファンらがインターネット上で寄付を募り、目標を超える約2千万円が集まった。雨漏りや窓を直してから、来場者の休憩場所として車内を活用する。「ゆくゆくは青森、千葉両県などの食材を使った料理を出したい」と、梅原さんは構想を語る。
ポッポの丘は2011年、村石さんが私有地でオープンさせた。車両保存団体にも場所を提供しつつ、北陸鉄道(金沢市)や長野電鉄(長野市)の客車など29両を公開。一部の列車は車内見学もできる。
「今の子どもたちが将来、親になって再び訪ねてくれたら、うれしいね」。村石さんや梅原さんは、どの世代でも楽しめるロマンに満ちた憩いの場にすることを目指して、鉄道の魅力を伝え続ける。
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。