東京中央区の湾岸部にある「晴海フラッグ」は、東京オリンピックの選手村を改修したマンション群で、主にファミリー向けに17棟の分譲マンションが完成しことし1月から、入居が始まっています。
これまでの取材で、法人が多数の部屋を投資目的で取得するケースが相次ぎ、少なくとも500近い部屋が元値の1.5倍から2倍で、転売や賃貸に出されていることが明らかになっています。
さらに、分譲マンション全体の3割以上の部屋に住民票の登録がなく、居住実態が確認できなくなっています。
このように、晴海フラッグが投資の舞台となったのは、法人や投資家の購入に、制限がなかったことが理由の1つにあげられます。
東京都も、かつては投資目的の購入を防ぐルールを設けていました。
このうち、港区にある公有地にマンションを開発した際には、購入は一世帯に一部屋に限定し法人には販売しないといった条件がつけられていました。
このマンションに住む50代の男性は「厳しい条件でしたが、そのおかげでマンションの秩序は保たれています。条件がなかったら転売や賃貸が横行していたと思います」と話していました。
このほか、都がみずからマンションを建設するケースでは、部屋の転売などが確認された場合に、部屋を買い戻して契約が解除できる特約を設けていましたが、平成11年以降「不動産市況が大きく変化した」などとして、このルールを見直しています。
今回の対応について、東京都を取材をすると「晴海フラッグの開発において、マンションを保有して販売する権利は民間事業者にある。都市再開発法などにより、施行者である東京都は関与できない」と説明しました。
一方、この法律を所管する国土交通省は「施行者が販売に関与できないかどうかは、法律に明記されていない」と回答しました。
住宅政策が専門の明治大学 野澤千絵教授は「過度なマネーゲームの場にならないように、ルールメイキングをきちんとやってほしい。貴重な公有地の開発なので、東京都は住宅を必要とする人たちに届くよう、きちんと誘導していくことが問われている」と話しています。
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