都庁の外壁を使って、プロジェクションマッピングが毎晩行われているのを知っていますか?都庁だけで2年間で16億円、その他の場所などを含めると総額48億円がかけられていて、高額な費用に疑問の声が上がっています。
■島根知事「アンビリーバブルの3乗」
月の下を優雅に泳ぐ大きなクジラやカメ。高さ240メートルを超える都庁の壁面を彩ります。 さらに、都庁を襲撃するのは、高さ100メートルの「ゴジラ」。実物大のスケールで迫力満点のゴジラが大暴れするプログラムは、子どもや外国人観光客にも大人気です。 都庁のプロジェクションマッピングは「建物に映す最大の常設展示」として、ギネス世界記録に認定されています。 広島から来た人「楽しかった」 オーストラリアから来た人
「このショーを見に来ました。素晴らしかったです。週末にゴジラも見ます」
しかし、この取り組みに地方からは4日、“物言う知事”こと島根県の丸山達也知事が疑問を投げ掛けました。
丸山知事「議会に提案されて、問題なく通っちゃって、アンビリーバブルの3乗みたいな」
「50億円あれば、もっと生活の身近なところに手を差し伸べてくれないかという議論だってあるでしょう」
■開始から3カ月で20万人が観覧
今年2月から毎日、1回あたり10分から15分ほど行われている都庁のプロジェクションマッピング。その目的は…。 都の担当者(番組の取材に対し)「東京のさらなる魅力向上には、夜間観光の振興の活性化が重要です。特に海外から多くの観光客を誘致するうえで、東京のランドマークである都庁舎を撮影場所として活用することは効果的です」 都によりますと、開始からおよそ3カ月で20万人が観覧。単純計算で一日あたり2000人以上が訪れていることになります。 6日、都庁を取材しました。開始5分前、平日にもかかわらず、大勢の人が広場に集まってきています。
実際に上映中、人数を数えてみると、282人が来ていました。
都民広場には、芝生に寝転びながら撮影する観客の姿がありました。
都内在住の人「きれいでした。こんなに近くというか、かぶりつきで映像を見られると思っていなかったので。きょうはちょっと得しましたね」 フィリピンから来た人
「フィリピンのショーより規模がかなり大きい。ショーには何千もの照明が使われていました。とてもすごい」
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■一連のプログラム 2年間で約48億5000万円■一連のプログラム 2年間で約48億5000万円
見物客の評判は上々ですが、賛否が分かれているのはその費用です。 坂本雅彦産業労働局長(当時)「令和5年度が22億9000万円、令和6年度が約25億6000万円」 一連のプログラムには、2年間でおよそ48億5000万円かかるということです。 その内訳は番組の取材によると、都庁の事業だけに16億5000万円。映像制作や専用の機材のリースなどにかかっています。
他にも、去年実施された渋谷西口や新宿西口、新宿住友ビルなどの事業に20億4000万円。神宮外苑で行われる国際イベント事業に9億6000万円。プロジェクションマッピングを行う自治体への助成金が2億円であることが分かりました。
映像は投影する建物などの状況に合わせて作られるため、そのまま他の場所で使用することは難しく、費用が高額になっているとみられます。 街の人(60代)「自分は見たいとは思わない」
「(Q.2年間で都庁だけで16億円)大変な金使うんだね。使い道を考えてほしい」 街の人(60代)
「(Q.始まってから夜間の人は増えた?)観光客多いんで。僕が見に行った時も、外国の方が多くて。お金を落としてくれればいいかな」
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■都の担当者「経済波及効果は18億円」■都の担当者「経済波及効果は18億円」
観光学の専門家は、“効果は限定的だ”と指摘します。 城西国際大学 観光学部佐滝剛弘教授
「宿泊客が獲得できないところでこそ、催しとかイベントをやるべきだと思うが、東京は十分潤っていて、オーバーツーリズムになりかけている。その上にお金をかけて、お客さんを集めるイベントの意味がどこにあるのかは、説明を聞いても見えにくいのではないかと思っています」 都の担当者は経済効果について、こう説明しています。 都の担当者(番組の取材に対し)
「試算したところ、令和5年度の(都庁分の)予算額7億円に対し、経済波及効果は18億円との結果が出ています。地域の団体や民間事業などとも協力し、地域の活性化や観光消費の拡大にも結び付けていきます」
(「グッド!モーニング」2024年6月7日放送分より)
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