福岡県飯塚市で1992年に女児2人が殺害された「飯塚事件」で、福岡地裁が5日、死刑が執行された久間(くま)三千年(みちとし)・元死刑囚(執行時70)の遺族による2度目の再審請求を認めるかどうか判断する。弁護団は、元死刑囚が犯人であるとした確定判決に疑問を生じさせるという2人の目撃証言を新証拠として提出。検察側は「事件から長期間が経っていて信用性はない」などと反論している。
死刑執行後の再審が認められれば、初めてのケースとなる。検察側は福岡高裁に即時抗告できるが、無罪の人の生命を奪った可能性が生じ、死刑制度そのものが問われる事態となる。5日午前10時をめどに弁護団などに結果を伝える見通しだ。
今回の第2次請求で弁護団は、犯行時間と場所の特定に関わる証言が揺らいだと主張している。確定判決で、元死刑囚が女児2人を誘拐したとされたのは、1992年2月20日午前8時半ごろ。車で通勤中の女性が、飯塚市内の三差路付近で女児2人が歩いているのを見たという証言がもとになったが、弁護団によると、第2次請求の法廷で女性は「女児2人を見たのは事件当日より前だった。警察に誘導された」と証言したという。
弁護団が新証拠とするもう一つの証言が、事件の報道を見て名乗り出た男性(75)のものだ。男性によると、元死刑囚と特徴の異なる人物が事件当日、元死刑囚のものと違う色の車に女児2人を乗せて周辺を走っていたという。
検察側は、女性の証言について「自分のせいで死刑が執行されてしまったという罪悪感から証言を翻した可能性がある」と指摘。男性についても「事件から長期間が経っていて信用性はない」と反論している。(上月英興、中山直樹)
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