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 茨城県の霞ケ浦で、特定外来生物の「アメリカナマズ」が今、大繁殖して漁業に深刻な影響を与えているということです。

 霞ケ浦だけでなく、滋賀県の琵琶湖でもナマズが繁殖する恐れがあるということです。

■琵琶湖で危機「ワカサギやアユを」

地元の人
「釣っている人を見た」
「(Q.川のほうで釣れる?)釣れる。釣れる」
「琵琶湖固有の魚を食べられるのは、嫌だなと思いますね」

 琵琶湖を今、脅かしているのが北米原産の「チャネルキャットフィッシュ」、通称・アメリカナマズです。

 大きいもので、1メートルを超える外来魚です。何でも食べる大食いで、定置網に入り込んだアメリカナマズの腹のなかには、20匹以上のワカサギがいました。

 生態系への著しい被害を及ぼす恐れがあるとして、特定外来生物に指定されていますが、今、琵琶湖の下流・瀬田川で捕獲数が急増。2022年度には374匹捕獲され、琵琶湖への繁殖拡大が懸念されています。

 アメリカナマズを駆除する漁に密着すると、前の日に設置した仕掛けに去年生まれたばかりとみられるアメリカナマズがいました。そして、体長55センチのアメリカナマズもあがりました。

湖南漁業協同組合 
漁師 上野欣一さん

「小さいのから、大きいのまでいる。ということは、毎年生まれて成長してきている。全部とりきれてないということが分かる」

 アメリカナマズの産卵数は、およそ2万〜6万粒。産卵後は親が卵を守るため、個体数が減りづらい厄介な外来魚です。

上野さん
「(琵琶湖で繁殖すると)えり(定置網)に入っているワカサギだとかアユとか、ああいう魚を食べていきますね。(在来魚は)逃げる道がないから、(アメリカナマズが)好き放題食べますね。影響は、ものすごく大きいと思います」

 琵琶湖と下流の瀬田川の間には、瀬田川洗堰(あらいぜき)があり、通常は琵琶湖方面へ上っていくことができません。しかし…。

滋賀県水産試験場
大植伸之さん
「尾びれ見てもらうと泳ぐ体形というか、泳ぐのに適したような体になっている」

 日本のナマズに比べ、アメリカナマズは尾びれが大きく、泳ぐことに優れているという特徴もあります。

 梅雨や台風時に琵琶湖が増水し、ゲートを開放した際に、流れに逆らって琵琶湖へ入ってきてしまう恐れがあるといいます。

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■漁師悲鳴「巨大外来ナマズ」霞ケ浦で大繁殖

■漁師悲鳴「巨大外来ナマズ」霞ケ浦で大繁殖

 日本で2番目の大きさを誇る湖、茨城県・霞ケ浦でアメリカナマズが大きな被害をもたらしています。 地元の漁師
皆藤勝さん

「これがアメリカナマズ」  船の床が見えなくなるほどのアメリカナマズ。2000年ごろから急増していることが確認され、現在は、一日でおよそ600キロとれるといいます。

 来月から解禁されるワカサギ漁を前に、地元漁師はアメリカナマズの駆除に追われています。

皆藤さん
「この小さいのだと、胸びれが刺さるのよね。長靴も貫通しちゃうくらいで危ない」  アメリカナマズのヒレには鋭いトゲがあり、漁師がけがをする被害が。さらに…。 皆藤さん
「ほら、網に引っかかったら、ああいう感じで漁具を傷める」  トゲが引っ掛かることで、網を破いてしまうといいます。 茨城県水産試験場 
根本孝 技佐兼内水面支場長

「アメリカナマズには、鋭いトゲがヒレに付いてまして。敵が少ないということが、増えた原因の一つかなと考えています」

 毎年7月にワカサギとシラウオの漁が解禁されますが、アメリカナマズなどの外来種がワカサギやシラウオを食べてしまうなどの影響で、漁獲高が減少。

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■ハンバーガーや四川料理“オリジナルメニュー”に…

■ハンバーガーや四川料理“オリジナルメニュー”に…

 漁協では、アメリカナマズを駆除した後、捨てるのではなく、駆除したアメリカナマズを魚粉にすることで漁師たちの収入につなげています。 霞ケ浦漁業協同組合
沼口京介さん

「魚粉(肥料など)として販売することで、貴重な収入になるということで、今注目しています」  さらに、アメリカナマズのフグのようなさっぱりとした味わいをいかし、「湖(かわ)フグ」と名付け、アメリカナマズのフライの入ったハンバーガーを提供しています。 畔の駅コハン
今野浩紹さん

「平日や土日を合わせると、一週間で大体30〜40食から100(食)の間ぐらい」  つくば市の四川料理店でも、唐辛子や山椒と炒め、辛みを効かせたアメリカナマズのオリジナルメニューを開発しました。 麻辣十食
孫麗さん

「ナマズに力を入れているのは、うちがこういうふうに作ってみたというのを皆さんに知ってもらって、みんなの力でアメリカナマズを減らそうっていう考えなので」

(「羽鳥慎一 モーニングショー」2024年6月4日放送分より)

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